「起業で良い社会を」 慶大生の夢

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毛利友哉さん

「社会をもっと良くしたい」。そう志を持って起業に挑戦するのは、慶應義塾大学SFC総合政策学部2年生の毛利友哉さん(21)だ。今の若者像とビジネスの意義を考える材料として、その姿を紹介してみよう。

毛利さんが新しく作ろうとしているサービスは「リアルECサイト」と名付けた「Wander×Wonder」(ワンダー・ワンダー)。商品に付けられたバーコードに携帯などをかざすと情報が現れ、ウェブ上の買い物かごに保存ができ、後で決済が行える仕組みだ。実物が見られるリアルショッピング、手軽に買い物ができるEコマースの双方のメリットを持つ。今春までに会社を作り、サービスを開始予定という。

ショッピングを通じた人のつながり、喜びの広がりを夢見る。創業前に「一人でも多くの人と喜びと感動を共有する」という会社のビジョンを作った。

「人が喜んでくれる事が大好き。このサービスでショッピングがもっと楽しいものになればと思います」。東京・原宿の中小規模のアパレル店との協力からサービスを始め、いずれ別の種類の商品でもサービスを行いたいという。IT技術を使った情報のやり取りで、発信者である個人の交流が密接になっている。そうした時代の流れをつかむことを狙う。

「『社会をもっと良くしたい』という高い志を持ち、実践し続ければ、ビジネスは人を幸せにできる。それは自分の幸せにもつながる」。大学入学前、一人の社会起業家と出会い感動した事が、起業を考えたきっかけだ。昨年行われた100組以上のベンチャーが競う「ドリームゲート・Angels Gate」など、3つのビジネスコンテストで上位に連続入賞した。

試行錯誤を繰り返す中で、社会で活躍する多くの経営者が毛利さんに支援の手を差し伸べている。すでに数社から出資の申し出もあった。「『世間は冷たい』なんてことはなかった。多くの尊敬する皆さんに出会えて支えていただき、感謝しています」

カンボジアの田舎で。真ん中の青年が毛利さん(09年)

印象に残る体験がある。2009年にカンボジアを旅した。孤児院を訪ねると、貧しく裸の子どもたちがいた。善意から有り金をはたいて100人全員に服を買って配った。ところが施しに慣れ切って無感動な子どももいた。相互に豊かになる健全な関係はないかと考え続けてたどり着いたのが、ビジネスを通じて社会に貢献することだった。

「僕は今、何も成し遂げていませんし、失敗も繰り返すでしょう。一人じゃ何もできませんが、しかし僕には力強く支えてくれる仲間がいます。彼らと共に進めるこの事業ならば、少しだけでも世界が変わるかもしれない」。

若者の志が、日本の閉塞感の打破に繋がると期待したい。(オルタナ編集委員=石井孝明)2011年2月22日

2011年2月23日(水)11:08

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