市民の言葉に自ら耳閉ざした古川知事

「自然エネルギー協議会」の記者会見でビデオメッセージを寄せていた古川康・佐賀県知事(5月25日)

玄海原発2・3号機の運転再開をめぐり九州電力の「やらせメール」が発覚した6日夜に、佐賀県の古川康知事のツイッターアカウント(@furukawayasushi)が突然削除された問題で、ツイッター上でやらせメールに関する知事への質問を呼びかけた環境NGOグリーンピース・ジャパンの佐藤潤一事務局長は7日、本誌取材に「知事は市民の声に耳を傾ける機会を自ら閉ざしたことになる」と語った。

■知事語る「ツイッターはかくたるもの」

佐藤氏が6日夜に「県知事にこのようなやらせで玄海原発を再開するのか(ツイッターなどで)聞いてみましょう」と呼びかけてしばらくは、知事のツイート(つぶやき)が閲覧できる状態だった。しかしその直後、アカウントは削除された。

古川知事がツイッターを始めたのは2010年8月。9月1日付の佐賀新聞によれば、後援会の助言がきっかけだったという。知事は県内での講演に先立ってツイッター上で質問を募集するなど、公務に活用していた。同記事は「知事のツイッターはかくたるもの、というのを目指したい」との古川知事の言葉を伝えている。

■佐藤氏「マイナスの印象しか残らない」

グリーンピースは現在、ツイッターを利用して国会議員らに自然エネルギー促進法案の成立を呼びかける運動に取り組む。そうした立場から見て、今回の古川知事の行動はどう映るのか。

「知事は翌7日になって、玄海原発の運転再開を先送りする判断を示した。しかし何の前触れもなくアカウントを削除したことで、『批判に耳を傾けたくないのでは』という知事へのマイナスの印象ばかりが残る結果となってしまったのではないか」(佐藤氏)

「知事のツイッターはかくたるもの」どころか、むしろ反面教師としての格好の事例を作ってしまった感が否めない今回の古川知事の対応だが、削除の理由について県知事室は7日、「分からない」とだけ答えた。(オルタナ編集部=斉藤円華)2011年7月7日

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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