第2約束期間、主要な論点に――WWFジャパン見通し

WWFジャパンの山岸氏

10月1日から7日にかけて行われる気候変動交渉のパナマ会議を前にWWFジャパン(東京・港)が会議のポイントと見通しについて27日、説明会を開催した。同会議は今年12月に南アフリカ・ダーバンで開催される第17回気候変動枠組み条約締約国会議(COP17)の事前交渉。

WWFジャパン気候変動・エネルギーグループリーダーの山岸尚之氏は、1.京都議定書の第2約束期間の合意、2.ダーバン以降の交渉プロセスのあり方、3.途上国支援の資金の拠出方法などが、年末のCOP本会議の重要論点となると分析した。日本政府は京都議定書の継続に参加しない意思を明確にしているが、「準備不足では、日本が自らの望まない形での政治決断を迫られる可能性がある」(山岸氏)と指摘した。

COPでは09年のコペンハーゲンで京都議定書の継続をめぐり多国間交渉が決裂。しかし10年のカンクンでは交渉の継続、グリーン気候基金の設置が合意されるなど一定の成果があった。ただしCOP17の事前交渉の「雰囲気はよくない」(山岸氏)。今年にあった事前交渉の様子を踏まえると、先進国と途上国の間で、これら3論点についての合意がかなり厳しい状態だという。またパナマ会議では、MRV(測定、報告、検証)と呼ばれる温室効果ガスの削減活動のチェック方法などの個別分野での論点整理も行われる見通しだ。

日本はカナダ、ロシアとともに京都議定書の2013年以降の第2約束期間に、削減数値目標などを定める同議定書方式の国際的な枠組みへの不参加を表明している。そして東日本大震災以降、気候変動について国内の議論はまったく進んでいない状況だ。京都議定書の議長国であった日本へ、議定書の継続を求める発展途上国の視線は厳しい。「国内の合意の集積、さらに対立国の主張に向き合う交渉戦略の構築が必要ではないか」と山岸氏は述べた。(オルタナ編集部=石井孝明)

WWFホームページ「地球温暖化を防ぐ」

http://www.wwf.or.jp/activities/climate/

 

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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