本当に低い?都民の内部被ばく線量――大人の発がんリスク、ダイオキシン類と拮抗

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1年間の曝露によって、一生涯のうちに起こりうる発がんリスク(東大・JST発表資料から引用)

東京大学と科学技術振興機構は12日、東京電力福島第一原発事故で放出された放射性物質による、東京都民の飲食物を通じた内部被ばく線量の推計結果を発表した。昨年3月21日から1年間で、乳児で48~86マイクロシーベルト、大人で18~25マイクロシーベルトを被ばくし、その発がんリスクは乳児の場合でディーゼル車から排出される粒子状物質による影響を下回るという内容だ。

一見、内部被ばくによる線量と発がんリスクは十分に低いとも受け取れるが、今回の推計では呼吸を通じた放射性物質の微粒子による内部被ばくの影響は含まれていない。低線量被ばくが人体に与える影響についてはいまだ明らかでない点も考慮すれば、安易に安心するのは早計だ。

■大人の発がんリスク、ダイオキシンとほぼ同じ

推計は東京大学の村上道夫・特任講師らによる研究グループが実施。飲食物の摂取を通じた放射性ヨウ素131、放射性セシウム134、137による内部被ばくについて、暫定基準値を超える食品の出荷制限が始まった去年3月21日から1年間の線量を試算した。

推計によれば、一生を通じてがんを発症する確率は乳児で10万人当たり3人増加するという。また、大人の場合の発がんリスクはダイオキシン類とほぼ同じだ。一方、食品の出荷制限や乳児を対象としたペットボトル飲料水の配布といった対策により、内部被ばくによる発がんリスクを乳児で44%、大人で29%低減できたと指摘している。

今回の推計結果について、チェルノブイリ原発事故後にベラルーシで子供らの治療に当たった外科医の菅谷昭・松本市長はNHKのインタビューに対して「呼吸器を経由しての内部被ばくもあり、それらを全て入れた形で評価すれば、より正確になる」と語った。

群馬大学の早川由紀夫教授の調査によれば、放射性物質を含んだ雲(放射性プルーム)は昨年3月15日と21日に関東に到達し、新宿区内で15日午前に0.5マイクロシーベルト時を計測している。いずれにせよ、東電原発事故によって1千万都民が被ばくした事実に変わりはない。(オルタナ編集部=斉藤円華)2012年3月13日

2012年3月13日(火)14:21

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