休暇取得は生産性アップが条件!?――自己矛盾抱えるポジティブ・オフ

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「休日が充実―生産性がアップ―消費が増える―ニッポンが元気に」。観光庁では昨年7月より内閣府と厚生労働省、経済産業省と連携して、主に企業を対象とした休暇取得促進キャンペーン「ポジティブ・オフ」を展開中だ。

「ポジティブ・オフ」のロゴ(公式サイトから引用)

ところがこの施策、休暇がもたらす企業へのメリットを強調する余り、自己啓発や観光を通じた消費促進など「有意義な休暇」を取ることを前面に押し出す。政府が休み方にまで干渉するかのような雰囲気さえ漂う。

■観光庁「休める環境作りが目的」

ポジティブ・オフは、昨夏の電力使用制限令の影響で休業日が多く発生したことを背景とし、休暇に後ろ向きだった企業文化の改善や観光機会の創出などを目的に始まった。

観光庁の担当者は「『休みたいのに休めない』現状を変えたい」と語るが、一方で「企業に納得してもらうためには、どうしても生産性の向上などの利点を謳う必要がある」と漏らす。

本来、休暇は仕事から離れる時間だ。年次有給休暇の取得も、法律で権利として認められている。ところがポジティブ・オフは、休暇取得の促進に「仕事のため」と言わねばならないという自己矛盾を抱え込む。

■「生産性アップ目的はしわ寄せ生む」

積極的に休暇取得を促す例としては、「従業員をサーフィンに行かせる」アウトドア衣料ブランドのパタゴニアが挙げられる。しかし同社は「健康な地球がなければ株主も、顧客も、社員も存在しない」として、自社の存在意義の第一に環境保全を据える。

他方、ポジティブ・オフは地域への回帰や家族とのふれあいの重視なども謳うが、「企業だのみ」ゆえに経済合理性の優先から自由になれない。ポジティブ・オフは「オフを前向きにとらえる」と提案するが、そもそも休暇をポジティブ、ネガティブで色分けすることは正しいのか。

「ポジティブ・オフ」のスキーム(公式フェイスブックから引用)

環境文化NGOナマケモノ倶楽部の馬場直子事務局長は「生産性を上げるために休むのでは、どこかにしわ寄せがくる。同じ『休む』でも家族との時間など、経済の尺度で測れない価値に触れることでむしろ人はリフレッシュされる」と警鐘を鳴らす。果たして企業は、こうした指摘に自覚的だろうか。(オルタナ編集委員=斉藤円華)2012年3月30日

2012年3月30日(金)9:00

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