人口流出続く福島市、障がい者雇用の「匠カフェ」が会員制度で建て直し図る

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iPadで注文を受けるスタッフの新藤真耶さん

福島市置賜町で障がい者雇用の場としてオープンした「匠カフェ」。福島第一原発事故後、福島市の人口減少は続き、客足は10分の1に減ってしまったという。そこで、全国の授産施設の商品を厳選した「匠パック」や来店時にドリンクが半額になる特典を用意し、会員募集を呼びかけている。

■ 注文はiPadで対応、笑顔が印象的なカフェ

福島市の推計人口は、2011年3月1日時点で292093人だったのに対し、2012年4月1日には7911人減の284182人となっている。匠カフェのターゲット層である子育て世代の女性の流出も顕著で、来客数は震災以前の10分の1に減ってしまったという。

匠カフェは、アイエスエフネット(東京・港)の特例子会社アイエスエフネットハーモニー(東京・中野)の直営店として、2011年3月1日に開店した。福島市街の中心地・パセオ通りにある商業施設「パセナカ・ミッセ」内に店舗を構える。店名には、障がいを持ちながらも、働いている一人ひとりにプロフェッショナル(匠) になってほしいという願いが込められている。

匠カフェは、障がい者の働くカフェとしては日本国内で珍しいフルサービス型の接客を行う。手帳を持つ精神・知的障がい者6人と健常者2人が店舗で働く。時給は700円で、福島県の最低賃金時間額658円を上回っている。

店内に入ると、可愛らしい制服と店員の爽やかな笑顔が印象的だった。注文にはiPadを使用。客が一緒に画面を見ながら確認できるので、注文内容にミスが出ないように配慮されている。スタッフの注意力が散漫としてしまうことがあるといい、ぶつかってもケガをしないように、店内の内装にも気を配る。

オープン当初は、1日130~160人の来客があったが、東日本大震災を受けて休業に追い込まれた。地域を活性化し、障がい者雇用の力になりたいという思いで、2011年6月に再開したものの、厳しい状況は続いている。

そこで、強化しているのが会員制度だ。年会費5000円のスタンダード会員には、ドリンク半額サービスと、クッキーなど全国の授産施設の商品を厳選した「匠パック」(年1回)が付いてくる。さらに、年会費1万円のマスター会員になると、匠カフェから表彰を受けたり、スタッフから「葉書」が届いたりする。

福島市街の中心地・パセオ通りにある商業施設「パセナカ・ミッセ」内に店舗を構える匠カフェ。佐々木店長(右)と

■ 障がい者雇用の継続には支援が必要

笑顔が印象的なスタッフの新藤真耶さん(18)は、「来店したお客さまと話しているときが楽しい。再開したときは嬉しかった」と言う。最初は緊張してうまくいかなかった接客も、今ではそつなくこなせるようになった。研修中には、家でも笑顔の練習をするなど努力してきたそうだ。

約2年前にアイエスエフネットハーモニーに入社し、匠カフェの研修や運営を担当してきた佐々木朋寛店長は、「全国の方に会員として匠カフェを支援してもらえたら有り難い。福島の現状を考えると難しいが、接客をすることがスタッフの働きがいにつながるので、機会があれば足を運んでみてほしい」と思いを打ち明ける。

現在会員数は約150人だが、1000人を目指したいとしている。(オルタナ編集部=吉田広子)

匠カフェ

2012年5月2日(水)12:54

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