30年原発比率、ゼロから15%に「後退」

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国民的議論で示された「原発ゼロ」は、反故にされたのか。14日に新しいエネルギー戦略=「革新的エネルギー・環境戦略」が決定してから初めて開かれた、18日夜の政府の総合資源エネルギー調査会・基本問題委員会の会合で、政府が掲げた「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投じる」との目標は、実質的には国民的議論で提示された30年時点の原発比率をめぐる「3つのシナリオ」における「15%シナリオ」に相当するとの意見が出された。

総合資源エネ調・基本問題委員会会合=18日夜、経済産業省で

指摘したのは寺島実郎委員(日本総合研究所理事長)。寺島氏は「原発ゼロ目標」について「選挙(対策)で出てきた言葉」だと批判しながら「1990年代に稼働を開始した第2.5世代の原発が20基以上ある」と指摘。政府が示す「原発に依存しない社会の実現に向けた3つの原則」の一つである40年の運転制限を適用すれば「2030年代にはこれらが稼働している」として、30年時点での電力における原発比率は実質的に「15%程度になる」と述べた。

三村明夫委員長(新日鉄会長)もこの見方を支持。会合終了後の会見で三村氏は「政府の戦略では新たなエネルギー政策の根幹が見えない」と苦言を呈する一方、寺島氏の指摘を踏まえて「(15%は)一つの成果。これまでの会合は必ずしも(原発ゼロか、推進かの)二項対立ではない」と述べ、会合での議論が原発比率をめぐる調整の場として一定機能したとの考えを示した。

こうして新しいエネルギー戦略を見てみると、「原発稼働ゼロ」が文言として盛り込まれた点は画期的ながら、国民的議論で示された「30年時点での原発ゼロ」はおろか、30年代の原発稼働ゼロの実現さえも実に危ういことがわかる。40年廃炉ルールは1回に限り20年の延長も可能だ。しかも建設中の大間原発や島根原発3号機が稼働すれば、50年代までの運転も不可能ではなくなる。

しかし、今会合での豊田正和委員(日本エネルギー経済研究所理事長)の「原発のリスクは安全規制で乗り越えられる」、あるいは榊原定征(さだゆき)委員(東レ会長)の「最新の原発技術は進化していると思う」などの発言が象徴的だが、原子力ムラで顕著に見られた原発安全神話、ひいては科学技術への盲信ともいえる姿勢に、今後も原発を委ねていいのか。

同じく会合で枝廣淳子委員(幸せ経済社会研究所所長)が示した「まるで3・11がなかったかのような議論が今日もされているように聞こえる」との違和感は、多くの国民が共有するところだろう。(オルタナ編集委員=斉藤円華)2012年9月20日

2012年9月20日(木)13:17

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