さいたま市は9月に「さいたま市CSRチャレンジ企業認証制度」を創設した。さいたま市によると、中小企業のCSRに関する取り組みを自治体が直接認証するのは、全国初だという。11月9日付で15社が最初の「さいたま市CSRチャレンジ企業」に認証された。
対象は市内の中小企業。今年度はサイサンやユーディケーなど15社が応募して、すべてが2014年度末までの認証を得た。うち5社は従業員10人以下の小規模企業である。
認証式は9日、さいたま市商工見本市「コラボさいたま2012」の会場で行われた。式典に続くセミナーでは、さいたま市CSR推進会議委員の清水圭子・ダイバーシティ研究所研究員が登壇し、先進事例を紹介しつつ「小さな会社でも、社会の期待を考慮して優先的な課題からCSRに取り組むことが可能」と語った。
同制度対応の「CSRチェックリスト~中小企業のためのCSR読本~」は、90項目に「はい」か「いいえ」で答えてCSRに関する「気づき」を得られるガイドブックとして、さいたま市のホームページに公開されている。チェック項目は「守るCSR」と「伸ばすCSR」に分けられ、前者は法的責任と経済的責任、後者は倫理的行動や本業を通じた社会貢献に関する責任を問う内容だ。
このリストを使った自己診断で市の定めた基準を超えれば、制度に応募できる。認証の可否は市が審査を経て決める。今回は市の担当職員らが応募企業の社長を訪ね、各社2時間以上の聞き取り調査を実施。「チャレンジ」支援が目的のため、積極的な姿勢も評価に入れて15社とも認証可とした。
市は今後、認証企業に対して、企業PR支援や「CSR目標」の達成支援を展開する。さらに、認証企業同士の交流を図り、市内企業のCSR経営をリードする「さいたま市CSRコミュニティ」の構築を目指す。
清水勇人市長は、2009年の就任直後からCSR認証制度創設の方針を示していた。認証式は出張のため欠席したが、今月15日の懇談会でCSRチャレンジ企業と対話する予定だ。(オルタナ編集委員=瀬戸内千代)