■ALTキーワード: 磯焼け
記事のポイント
- 世界各地で海の砂漠化「磯焼け」が拡大している
- この現象は漁獲量の減少だけでなく、ブルーカーボンの量も減らす
- 日本は「磯焼け」対策を進めるが、藻場の回復には至っていない
世界各地で、海の砂漠化が拡がっている。これは日本で古くから「磯焼け」(磯枯れ)と呼ばれていた現象のこと。沿岸で生息する海草や海藻が、自然増減の範囲を超えて衰退・消失する現象をさす。
この現象が進むと、藻場を生育環境とする魚介の収穫が減るだけでなく、海の生物によって隔離・貯留できる炭素(いわゆるブルーカーボン)の量も減ってしまう。
原因は多様で複合的だ。主なところでは藻食動物による食害、沿岸域の貧栄養化(河川水の流入減少など)、海水温の上昇、水産物の乱獲、漁業従事者の減少による管理不足などが原因とされており、地域ごとに顕著とされる原因が異なる。
これに加え、各要因が相互に影響を与え合う状況もある。例えば近年深刻化している海水温の上昇が、藻食動物の生息域を変化させて、磯焼けの地域を拡大させるパターンもある。
日本では水産庁が2007年に『磯焼け対策ガイドライン』を発表(最新版は2021年)。2009年以降は公的補助制度も整備された。また除去したウニを肥育することで食用化する試みも盛んになったが、藻場を本格的に回復するレベルの取り組みには至っていない。