日立やMUFGなど、企業と運用機関をESGデータでつなぐ

記事のポイント


  1. サステナブルファイナンスプラットフォームは、企業・運用機関間サービスを開始した
  2. 上場企業のESG情報開示と運用機関の投資判断を促進する
  3. 日立やMUFG、MS&ADインシュアランスグループなど8社が参加する

サステナブルファイナンスプラットフォーム運営協会は10月16日、企業・運用機関間のエンゲージメントサポートサービス(SFP-ESS)を開始した。上場企業のESG情報開示と運用機関の投資判断を促進する取り組みだ。日立やMUFG、MS&ADインシュアランスグループなど8社が参加している。(オルタナ総研フェロー=室井孝之)

上場企業と運用機関の間でESG情報開示への認識の共有を促す

上場企業のESG情報開示と運用機関の投資判断を促進するサステナブルファイナンスプラットフォーム運営協会(代表理事・山本真司、日立製作所・金融システム営業統括本部副営業統括本部長)は、 エンゲージメントサポートサービスのベータ版の提供を10月16日から開始した。

協会の提供するサービスは以下の3つとなる。
1)開示促進サービス: 運用機関が上場企業に期待するESG情報開示ニーズの登録
2)ESGデータサービス: 上場企業側が自社のESG情報をテンプレートに基づいて登録
3)コミュニケーション支援サービス: 運用機関と上場企業のエンゲージメント活動のサポート

協会には、MS&ADインシュアランスグループHD、損害保険ジャパン、東京海上日動火災保険、日本生命保険、日立製作所、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行の8社が参加する。

こうした取り組みが始まった背景には、ESG投資は急拡大している一方、ESGに関する非財務情報開示ルールや評価手法のグローバル基準は整備途上であることが挙がる。

そのため、上場企業は開示項目や方法を独自に対応せざるを得ない。運用機関は上場企業の開示データが異なるため、情報収集や企業間での比較評価が難しい。

SFP-ESSは、運用機関と上場企業の間のESG情報開示に関する相互理解を深めるサービスの提供により、効果的・効率的な情報開示と運用機関の投資判断を促進するプラットフォームとなる。

SFP-ESSは、IFRS財団が 2023年6月に公表した開示基準IFRS S1(サステナビリティ財務情報の全般的要求事項)、S2(気候関連開示要求事項)の利用ライセンスが日本で初めて付与された。

運用機関が上場企業に期待するESG情報開示ニーズを国際基準のISSBのベースになるSASB(米国サステナビリティ会計基準審議会)スタンダードに沿って提示し、上場企業は登録された情報を参照することで、自社の開示方針策定に活用することができる。

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室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

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キーワード: #ESG

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