プラの生産制限求め、ユニリーバやキリンら10社が企業連合

記事のポイント


  1. プラ条約の議論が進むなか、一次プラの生産制限などを巡って各国が対立
  2. 日本政府に野心的な交渉を進めるように働きかける企業連合が発足した
  3. ユニリーバ・ジャパンやキリンホールディングスなど10社が参加した

国際プラスチック条約の制定に向けて、日本政府に政策提言を行う企業連合が11月1日、発足した。世界共通ルールの導入や一次プラの生産制限などを巡り、各国の意見が対立するなか、日本政府に野心的な交渉を進めるように働きかける。ユニリーバ・ジャパンやキリンホールディングスなど10社が参加した。(オルタナ副編集長=吉田広子)

プラ条約を議論する第2回会合では、11月までに草案を作成することが決まった
プラ条約を議論する第2回会合では、11月までに草案を作成することが決まった

2022年3月に開かれた国連環境総会で、「プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)」を採択することが決まった。2024年末までに政府間交渉委員会(INC)の作業を完了し、2025年までに条約の締結を目指す。

3回目の政府間交渉会合(INC-3)は11月13日から19日まで、ケニア・ナイロビで開催される。

政府間交渉では現在、世界共通ルールを設定するか、あるいは自主的な国別行動計画にとどめるかで、各国が対立している。プラ製品の原料となる一次プラスチックポリマーの生産や使用を巡っても、制限をかけるかどうかで意見が分かれている。

そうしたなか、企業の意思を表明し、野心的なプラ条約の制定に向けて政府に働きかける国際プラスチック条約企業連合が2022年9月に発足した。プラスチックのバリューチェーンにかかわる150以上の企業、金融機関、NGO パートナーが参加している。

日本でも同様に、政策提言を行う集まりとして、国際プラスチック条約企業連合(日本)が誕生した。日本政府に対し、世界共通ルールの導入や一次プラの生産制限など、野心的なプラ条約を制定することを求める。

同連合の事務局責任者を務める三沢行弘・WWFジャパンサーキュラーエコノミー・マネージャーは「野心的で実効性のある国際条約は、公正な競争環境を築き、自然環境だけでなくビジネスにも利益をもたらす」と説明する。

ユニリーバ・ジャパン・ホールディングスの北島敬之代表は、「一次プラの生産制限など、ビジネスに影響があるものの、これまでとは違ったアイデアやイノベーションが生まれるきっかけにもなる。深刻化するプラ問題を早期に根絶するには、法的拘束力がある野心的なルールが必要だ」と話した。

国際プラスチック条約企業連合(日本)には、Uber Eats Japan、エコリカ、キリンホールディングス、サラヤ、テラサイクルジャパン、日本コカ・コーラ、ネスレ日本、ユニ・チャーム、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス、ロッテの10社が参加した。

yoshida

吉田 広子(オルタナ副編集長)

大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。執筆記事一覧

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