記事のポイント
- 健康ブームの追い風を受けて北米のヨガ市場が急成長している
- 2020年から2028年までの年平均の成長率は8.4%と見込む
- 環境配慮素材からできた、つま先のない「ヨガソックス」が話題だ
健康ブームの追い風を受けて北米のヨガ市場が急成長している。フォーチュン・ビジネス・インサイトの調査では、北米のヨガ市場の規模は、2021年の227億ドル(約3兆2200億円)から2028年には399億ドル(約5兆9000億円)まで拡大すると見込む。環境配慮素材からできたヨガソックスが話題を集める。(ニューヨーク・古市裕子)
コロナ禍以降、ヨガグッズの独占市場は北米だ。各都市では、1日に平均30分間はヨガやウオーキングに時間を使う人が増えた。健康意識は日に日に高まっており、この傾向は今後も加速するだろう。
■タケッツ社の「トゥレス靴下」が注目
そんな中、米コロラド州で「足の指先を覆わないトゥレスタイプのヨガソックス」が話題を集める。開発したのは、人の身体と心の健康のバランス改善を追求する社会起業家だ。タケッツ社を立ち上げた創設者ポーラ・シャー氏だ。
なぜトゥレスタイプなのかという問いに対し、ポーラ氏は、「コロナ以後、身体と心の健康を崩している人が多い。ヨガのストレッチで足指の感覚と脳の認識が繋がることで、心身のバランスを健康に保てる」と話した。トゥレスタイプのヨガソックスは、体温を一定に保持しながら運動能力、姿勢も安定するよう設計されている。
■ニューヨークの展示会でもバイヤー集まる
今年8月、ニューヨークの世界小売り展示会に出展したタケッツ社のブースには、世界からバイヤーが押しかけた。
オルタナが、バイヤーやトゥレスソックスの利用者にインタビューしたところ、「ソックスを履かないでヨガをすると体温が下がって健康を崩しやすい。トゥレスのヨガソックスは、体温が逃げないし姿勢や身体のバランスを保てる。足裏の滑り止めが、ヨガをする時に足をしっかり支えるから滑りにくく年配の人も安全に使える」と話した。
■ソックスの素材は100%サトウキビ繊維で
このソックスの素材は、100%サトウキビ繊維を使った。健康に有害な染料や塩素系漂白剤は、不使用だ。パッケージの郵送封筒は、産業廃棄物から作ったリサイクル封筒だ。
ソックスを収納する包装紙の量も最小限に抑えた。100%樹木を使用しない徹底ぶりで、使用済みのソックスを回収し、アップサイクルで商品開発・販売を行う。
ポーラ氏は、環境配慮は企業が考えるべき当然の社会貢献だと言い切った。人と環境のサーキュラーエコノミーを目指すタケッツ社のトゥレスソックスは、企業利益と社会課題の解決を追求するビジネスモデルとして投資家の評価も高い。南米の工場とパートナーシップにもつながったという。
ヨガソックスでコロンビアで健康支援、タンザニアでマサイ族の少女たちへの教育、貧困の子どもたちへの義足支援など、さまざまな国や地域の活動と連携も深める。 オルタナのインタビューに対し、ポーラ氏は、「ヨガソックスで人々の心と健康のバランスを保つ。開発する際には、環境に配慮し、サステナビリティを追求する。これが私たちのライフワークだ」と語った。