編集長コラム)日本でも世界遺産が破壊されようとしている

広大な平城宮跡の草原をセメント舗装の愚挙――市民の反対押し切り、工事続く」(ここから引用)

2012年9月25日、平城宮跡中心部の造成工事が始まった。平城宮跡には1998年に復元された朱雀門や2010年に完成した第一次大極殿がある。そのほぼ真ん中にある東京ドーム1つ分、45000平方㍍もの草原・湿地を、土とセメントで舗装するというのだ。(中略)

最大の懸念は、地下水の枯渇による埋蔵文化財の破壊だ。地下水によって1300年間守られてきた木簡などの遺物が、酸化・腐敗の危険にさらされることだという。また、「文化庁も、ユネスコ世界遺産委員会に工事の報告をしていません。このままでは、平城宮跡は世界遺産から登録抹消される可能性もあります」と工事の問題点を指摘した。(中略)

自然環境も良く、関西で二番目に大きなツバメのねぐらがある。滋賀県と奈良県で希少種に、京都府では準絶滅危惧種に指定されているカヤネズミも生息している。(中略)

奈良県出身の歌手・堂本剛さんの中国や台湾のファンからも署名が届き、平城宮跡への関心の高さに驚いたという。集めた署名を国土交通省に直接提出したが、国は「決定事項である」と判断を変えず、話し合いは決裂した。

12月3日には湿地への土入れ作業が始まる一方で、23日には署名は3万筆に到達した。工事は現在も進められているが、完成予定の3月を大幅に遅れる予定だ。
(オルタナS関西支局特派員=魚野真美) =引用終わり

editor

オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

執筆記事一覧
キーワード:

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..