筆者は企業の環境・CSR活動やNPOとの協働などに関する、いくつかのアワード(顕彰)の審査員をさせて頂いていますが、最近、残念な事実を知りました。
それは、数年前にある「大賞」でグランプリを獲得した企業が、受賞の半年以上前に、NPOに対する支援を事実上打ち切っていたのです。支援期間はたった1年でした。
すでに終わっていた支援について、それを隠し通し、堂々と受賞していたのであれば、それは企業倫理にもとる行動と言わざるを得ません。審査員の一人として、まさに裏切られた思いでした。
企業同士の取引であれば、短期間で終了することはよくあることです。しかし、NPOは市民を代表する存在であり、その背後には多くの受益者がいるのです。そうした関係性から、企業が一方的にNPOを安易に「切る」ようなやり方は、多くの人たちから不信感を抱かれかねない行為です。
企業のCSR活動は、10年、20年と続く中長期の取り組みであるべきです。障がいを持つ児童への支援であれば、小学校1年生から高校3年生まで12年の学習期間があります。それなのに1-2年で支援が途絶えれば、「打ち切られた」児童はどうすれば良いのでしょうか。これは海外の貧困や教育支援なども同様です。
さて、このように企業がCSR活動で協業したNPOを短期間で「切る」ような事態が頻発すると、さまざまなリスクが予想されます。第1に、「切った」企業自身のリスクです。