記事のポイント
- 佐賀県で「有明未利用熱利用促進研究会」なるプロジェクトが進む
- 県内の大学や企業、金融機関など30社・団体が集まり、地中熱の実験を進める
- 地中熱交換器を「ヨコ方向」に埋没することで、コスト約3の1に減らした
佐賀県で「有明未利用熱利用促進研究会」と題したプロジェクトが進む。県内の大学や企業、金融機関など30社・団体が集まり、地中熱の実験を進める。そのうちバイオテックス(佐賀市、原田烈社長)は、地中熱交換器を「横方向」に埋没することで、コストを約3分の1減らした。 (オルタナ編集部・下村つぐみ)
地中熱とは、地中と地上の温度差を利用した再生可能エネルギーの一種だ。地中の温度は一定であるため、暑い季節には屋内から熱を地中に運んで排熱し、寒い季節には地中の熱を屋内に運ぶ「ヒートポンプ」の仕組みで熱エネルギーを集め、冷暖房や給湯などに利用できる。
地中熱ヒートポンプ技術は、井戸水が夏には水道水より冷たく感じ、冬には水道水より暖かく感じるように、地中熱は地表や大気中よりも温度変化が少ないことを活かした技術だ。東京スカイツリーも冷暖房に地中熱ヒートポンプ技術を取り入れた。
資源エネルギー庁によると、日本は世界第3位の地熱資源量を持ち、地熱発電のポテンシャルが高いという(1位は米国、2位はインドネシア、2016年時点)。
一方で、地中熱を利用するための開発コストが高く、地熱資源が地域によって偏ってしまうことから、日本での導入率は総発電量の0.3%程度にとどまっている。
■新工法の開発で費用3分の1に
バイオテックスの本業は、上水や下水などの管路(パイプ)施設の工事や調査だ。15年に設立した「有明未利用熱利用促進研究会」に当初から参加し、地中熱ヒートポンプ技術の開発や低コスト化を進めてきた。
バイオテックスが地中熱利用に携わった大きなきっかけは、東日本大震災だ。再生可能エネルギーの重要性が問われるなか、自分たちの技術が貢献できる「地中熱」に着目した。