ピジョン、東南アジアで哺乳びん用プラをバイオベースに

記事のポイント


  1. ピジョンは東南アジアで、哺乳びんに使うプラをバイオベースに切り替える
  2. 蘭化学品大手と提携し、GHG排出量を70%削減した再生プラを活用する
  3. 新たな哺乳びんはインドネシアを皮切りに、順次、他の市場に広げていく

育児用品メーカー・ピジョンのシンガポール現地法人は12月25日、サステナブルな哺乳びんの研究開発に向けて、蘭化学品大手ライオンデルバセル社との提携を発表した。再生素材ではないプラスチックからの脱却を図り、化石由来燃料に比べてGHG(温室効果ガス)排出量を70%削減したライオンデルバセル社のバイオベースの再生プラへと切り替える。新たな哺乳びんは、2023年12月のインドネシアでの導入を皮切りに、2024年以降、東南アジア、中東、アフリカ、オセアニアなどの市場に展開する。(オルタナ副編集長・北村佳代子)

ピジョンは東南アジアで哺乳びん用プラスチックをバイオベースの再生素材に切り替える

切り替えを進めるのは、日本で「母乳実感」の商標名で知られる哺乳びんの東南アジア版「SofTouch」シリーズだ。哺乳びんのキャップやフード、ハンドル、プラスチックボトルなどに使用するポリプロピレン(PP)樹脂部分に、ライオンデルバセル社のバイオ由来の原料を使用したPP「サーキュレンリニュー」を配合する。

「サーキュレンリニュー」は、従来の化石由来のPPに比べ、ライフサイクル全体での製品のGHG排出量を70%*削減できるという。ライオンデルバセル社にとって、「サーキュレンリニュー」の赤ちゃん向け製品への供給は初となる。

ピジョンはまた、哺乳びんに取り付けられるトレーニング用ストローセットを新たに発売する。子どもの成長に合わせ、哺乳びんの飲み口部分をストローに交換することで、母乳やミルク以外の飲料を飲むときにも哺乳びんを長く使い続けられるようにする。

ピジョンの仲田祐介上級執行役員兼シンガポール事業本部長は、「過去数年にわたり、原材料を研究し、可能な限り代替素材に切り替えてきた。ライオンデルバセル社との協業で、哺乳びんにバイオベースのプラスチックを使用するという画期的で意義深い製品シリーズを発売できることを誇りに思う」とコメントした。

ピジョンは、哺乳びんで世界トップシェアを持つ。「赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にします」という存在意義(パーパス)の下、2022年12月には、赤ちゃんの未来にも豊かな地球を残すための中長期環境目標を策定し、「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現を目指す取り組みを強化してきた。

例えばシンガポールでは、2019年から使用済み哺乳器のリサイクル活動を進め、2023年1月には、2030年の目標として掲げた5万本を上回る哺乳器を回収し、新たな製品への再利用も進めている。

今回の取り組みを通じて、ピジョンはバイオベースのグローバル認証制度であるISCC(国際持続可能性カーボン認証)PLUS認証を取得し、国際的な第三者機関の厳正な審査をクリアした製品であることを消費者に保証する。

*ライフサイクル終了時のエネルギー回収を前提とした生産・ポリマー貯蔵での排出量。流通・使用時と、その他の形でのライフサイクル終了時の排出量を除く。

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

オルタナ副編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部。

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キーワード: #プラスチック

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