オルタナ総研統合報告書レビュー(28):三菱電機

記事のポイント


  1. 三菱電機は品質問題、労務問題から、信頼回復に向けた3つの改革に取り組む
  2. 3つの改革は、取締役会の監督力の発揮が問われている
  3. 「社外取締役対談」では改革の進捗、社外取締役の監督機能が語られている

三菱電機は品質問題、労務問題を契機に、新しい三菱電機グループの信頼回復に向けた3つの改革「品質風土改革」「組織風土改革」「ガバナンス改革」に取り組んでいます。統合報告書2023では、「社外取締役対談」として、社外取締役2人が改革の進捗や社外取締役の監督機能の重要性を語っています。(オルタナ総研フェロー=室井孝之)

三菱電機 統合報告書2023

三菱電機統合報告書2023では、「社外取締役対談」として、製造業出身で経営への知見の深い小坂達朗社外取締役(指名委員長、報酬委員)と柳弘之社外取締役(監査委員長、指名委員)が、三菱電機の改革の進捗、経営課題や取締役会の運営について語っています。

三菱電機は現在、品質問題、労務問題を契機に、新しい三菱電機グループの信頼回復に向けた3つの改革「品質風土改革」「組織風土改革」「ガバナンス改革」に取り組んでいます。

品質風土改革では、不正の未然防止に向け、検査データ取得プロセスの自動化などの管理の仕組みの強化を図っています。

対談では、「品質風土改革では、社長自らが2021年から2年間で約100回のタウンホールミーティングを実施し、従業員と品質の重要性を話し合うなど、打つ手はすべて打ってきた。こうした改革は時間がかかるもので、継続していくことが非常に重要」と語っています。

組織風土改革では、「上にものが言える」「失敗を許容する」「共に課題を解決する」風土の醸成を図っています。

対談では、「『上にものが言える風土』への改革や、組織横断の連携、事業所間の人事ローテーションなど、着実に進展しているという肌感覚がある」と述べています。

ガバナンス改革では、外部視点を適切に入れることで、不正が起こらない、起こさないガバナンス/内部統制の仕組みを構築しています。

対談では、「2022年度、取締役会は社外取締役が初めて過半数となり、取締役会議長と法定三委員会の委員長も社外取締役となった。取締役会の実効性評価は第三者機関に依頼し、客観性を持たせている。監督機能と取締役会の実効性を更に強化していく段階を迎えている」
と示されています。

また、対談では「取締役会の中だけで話すのではなく、各地の拠点を訪ね、従業員の皆さんから意見や課題を直接聞き、取締役会の議論をさらに充実させていく」と語られています。

次の統合報告書では、3つの改革「品質風土改革」「組織風土改革」「ガバナンス改革」についての従業員の意見をどう取締役会に活かしたかを開示されてはいかがでしょうか。

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室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

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キーワード: #サステナビリティ

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