NGOとの協働が企業の信頼性を高める――下田屋毅の欧州CSR最前線(30)

2.適切なパートナー選択
NGOとの協働の上で、まずは自社に合う適切なパートナーであるかを確認することが最初のステップとなる。お互いがフィットする部分を見つけられれば、協働作業はスムーズに運用される。すべてのNGOは、それぞれの専門分野、長所と短所を持っている。国際NGO、ローカルNGOのどちらが適切か、サービスの提供が得意な団体か、それともキャンペーンが得意な団体か、なども確認する必要がある。企業が、自社の業務提携と同様に、デュー・ディリジェンスの活用により可能性を絞り込むことが必要だ。

3.自社とNGOとの違いの認識
基本的に企業とNGOがそれぞれの言語、組織、ビジョン、価値観などの違いを認識することは、相互の信頼関係の構築にもかかわる。海外では、企業とNGOとの違いを理解するために、NGO経験者やベテランの雇用を実施。NGO経験者は、NGOの立場を理解しているので、企業とNGOとの協働をうまく引き出すことができる。

4.NGOとの協働における企業側の体制の整備
NGOとの協働は、企業には新しい方法・戦略であり、社内の体制の構築が求められる。NGOは企業がこの関係を真剣に考え、体制構築をするか観察していることも忘れてはいけない。

5.NGOとのエンゲージメントを本業へ統合
パートナーシップは、独立したものとして維持されるというよりも、徐々に企業の機能に統合されるのが望ましい。企業のパートナーシップが機能するのは、企業の中核戦略・スキルにマッチしていることである。

shimotaya_takeshi

下田屋 毅(CSRコンサルタント)

欧州と日本のCSR/サステナビリティの架け橋となるべく活動を行っている。サステイナビジョン代表取締役。一般社団法人ASSC(アスク)代表理事。一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会代表理事。英国イーストアングリア大学環境科学修士、ランカスター大学MBA。執筆記事一覧

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