CSR報告書の第3の潮流は「ストーリー」だ。もともとCSR報告書は、アニュアル・レポート(年次報告書)にはない「非財務情報」を伝えるメディアである。
非財務情報はESG(環境・社会・ガバナンス)情報とも言い換えられ、いまや欧州のSRIで企業価値の8割を生み出しているという。
言うまでもないが、財務情報は「数字」の勝負だ。これに対して、非財務情報(ESG情報)は、「ストーリー」の勝負である。
これは欧州でも米国でも、いま最もホットな潮流だ。これについてはオルタナオンラインに掲載された、下記の二つの記事に詳しい。
■「サステナブル・ストーリーテリング」でCSRを語る ――下田屋毅の欧州CSR最前線(23)
■米サステナブル・ブランド会議でも「協働」「ストーリーテリング」「CSV」に脚光
ヤフー宮坂社長による対談の大きな特徴は、社長の生い立ちや趣味・志向が手に取るように伝わってくることだ。こうした「エピソード」や「生の声」が、ストーリーの組み立てにおいてとても重要な要素になる。
一方で、日本企業のCSR報告書冒頭に良く出てくる「社長挨拶」のコンテンツは当たり障りが無い、建前優先のものが多い。これでは興味を持って読んでもらうのは至難の技だ。
中には、本当に社長自身が書いたものかどうかすら疑わしい挨拶文もある。こうした企業の場合には「社長自らが語る」「社長自らが書く」ことが、本来のCSR報告書に近づくための、まずは第一歩になるだろう。