米ウイグル強制労働防止法(UFLPA)に基づき、フォルクスワーゲン(VW)グループの自動車数千台が、米国の港で輸入を差し止められたことが分かった。英フィナンシャル・タイムズ紙が2月14日に報じた。(オルタナ副編集長=吉田広子)
報道によると、押収されたのは、フォルクスワーゲン(VW)グループのポルシェ、ベントレー、アウディ数千台だ。新疆ウイグル自治区で生産された部品を使っている可能性があるという。
自動車メーカーとウイグル人強制労働の関連については、以前から国際人権NGOなどが指摘している。
ヒューマン・ライツ・ウォッチは2月1日、VWグループをはじめ、ゼネラルモーターズ(GM)、テスラ、BYD、トヨタの5社が、アルミニウムのサプライチェーンでウイグル人強制労働のリスクを排除できていないとする新たな報告書を発表した。
同報告書は、中国政府が新疆ウイグル自治区を産業集積地にすべく動いていると指摘。新疆ウイグル自治区のアルミニウム生産量は、約100万トン(2010年)から600万トン(2022年)に増加し、現在、世界全体の供給量の9%がこの地域で生産されているという。
新疆ウイグル自治区産のアルミニウムは、自治区外で他の金属と混合されて合金が作られるため、特定が難しいという問題がある。
トヨタ、GM、BYDは、中国の合弁会社やアルミニウムの原産地に関する照会には無回答だったという。
ヒューマン・ライツ・ウォッチの上級調査員で企業アカウンタビリティ担当のジム・ウォーミントン氏は、「自動車メーカーは、自社のアルミニウムのサプライチェーン内で、自社が新疆ウイグル自治区の強制労働とどれくらいかかわりがあるかを把握していない。消費者は、自分の車に人権侵害とかかわる素材が含まれかねないことを、知っておくべきだ」とコメントしている。