
もう一人の受賞者カーメン・ホック・ハイルさんは、人の健康にも環境にも害のない100%自然素材で、環境政策上多くの長所を持つ麻を使った断熱材の開発・製造に取り組んできた。
1998年に事業を始めた当初から、女性であることや麻を使うことに対する偏見に負けずやり抜いてこられたのは、未来のためにも重要だという信念からだ。
無農薬で育てた産業用の麻から製造する断熱材は、次第に欧州の近隣諸国でも利用されるようになった。自社の断熱材を使った家が解体された場合、無償で引き取りリサイクルする。
福島原発事故をきっかけに、政治は脱原発一色となり、国を挙げてエネルギー・シフトに取り組んでいるドイツでは、エネルギー政策に関する対立や抵抗が大きな課題だ。
それだけに、ガウク大統領は、自分のアイデアを信じて惑わされることなく、環境保全と市場経済への参入の両立を見事に成し遂げてきた2人の女性の勇気と不断の実行力を称えた。
世界経済フォーラムが25日に発表した「国際男女格差レポート2013」で、G20加盟国中ではトップのドイツ(136カ国中14位、日本は105位)だが、過去に「ドイツ環境賞」を受賞した女性はわずか数人、女性のみの受賞は第21回目の今年が初めてだ。