
ドキュメンタリー映画「渚のふたり」(2011年、韓国、原題:Planet of Snail)が、2月15日に公開される。耳が聞こえない人や目が見えない人に配慮した特殊な字幕や音声ガイド付き。障がいを抱える夫婦の愛を描く同作品を機に、日本初の「バリアフリー上映」が実現する。(オルタナ編集委員=瀬戸内千代)
聴覚障がい者の作品理解を助けるために、通常の翻訳字幕の代わりに「バリアフリー字幕」が表示される。効果音や音楽、話者名など、せりふ以外の要素も文字で説明する。
視覚障がい者に向けては、副音声用のiPod touchを貸し出す(数量限定)。アイティアクセス社の協力で提供する国内未発売の新システムで、電波が届かない劇場内でも、映画の音声と同期させながら観客の端末に音声ガイドを送る。
配給元の「メディア・アクセス・サポートセンター」は、映画・映像のバリアフリー視聴の拡大に取り組むNPO法人。いずれのサービスも、一般の映画に初日から導入するのは日本初だという。
「渚のふたり」は、盲ろうの夫と低身長の妻の2年間を追ったドキュメンタリー。それぞれ幼少時の発熱や怪我が原因だという。2人は、相手の指をタップする「指点字」でコミュニケーションをとり、孤独や不自由さを補い合いながら、夢を持って暮らしている。