積水ハウスは4月5日、大阪の都心部に蝶が循環する生態系をつくろうと、「蝶のための植樹祭」を本社がある新梅田シティで開催した。応募した小学3年生までの子ども22人とその保護者が植樹に参加。同社は子どもたちと共に育てる緑化モデルとして、高さ9m、長さ78mの巨大な立体緑化モニュメント「希望の壁」を蝶が舞う世界最大のバタフライウォールに育てることを目指している。(オルタナ関西支局長=神崎英徳)
安藤忠雄氏が発案し、昨年11月に完成した「希望の壁」は、積水ハウスが推進する生態系に配慮した庭づくり「5本の樹」計画に基づいて、自生種や在来種を中心に開花時期の異なる草木を計画的に植栽。隣接する約8000平方メートルの「新・里山」とともに極力農薬の使用を抑え、鳥や昆虫など、多くの生き物の生態系を守るために時間と手間をかけながら管理している。
今回のイベントでは、単に植樹をするのではなく、子どもたちに命の営みや循環を実感してもらうことを目的にしている。例えばアゲハ蝶は独特のにおいがある柑橘系の樹の葉に卵を産み、幼虫の頃は鳥の糞に擬態していることを説明した際には、子どもたちは実際に柑橘系の葉のにおいをかぎながら話を聞いた。
蝶の生態について説明を受けた後、子どもたちは、「新・里山」に蝶が卵を産む春キャベツの苗を、「希望の壁」に蝶が蜜を集めるシバザクラなどの花苗をそれぞれ植えた。
子どもたちをガイドした同社設計部で樹木医の畑明宏氏は、「子どもたちには、ここを自分たちの緑地だと思ってほしい。自分が植えた木や花が大きくなることを楽しみにいつも見に来てくれるような場所にしたい。自然に触れるきっかけができれば、緑や生き物などすべてのものを大切にすることにつながってくると思います」と語った。