「悪い」を減らす、から「良い」を増やすへ――「ゆりかごからゆりかごまで」(CtoC)

 

2013年6月、サステイナブル・ブランズ会議で講演するビル・マクドノー氏。クリエイティブでインスパイヤリングなプレゼンテーションは常に観衆を魅了し、ひっぱりだこのスピーカーだ
2013年6月、サステイナブル・ブランズ会議で講演するビル・マクドノー氏。クリエイティブでインスパイヤリングなプレゼンテーションは常に観衆を魅了し、ひっぱりだこのスピーカーだ

■ 日本企業もC2C認証受け、米国で成功

――C2Cを実施することでビジネス的に成功した例を教えてください。

創立80年以上という歴史あるオフィス家具のメーカーである、ハーマンミラーとのプロジェクト例があります。

まず、「導入セッション」ともいうべき小さなプロジェクトから始め、CEOはじめシニアマネジメントと会ってプレゼンをしました。彼らは、C2Cにおけるサステナビリティについての全く新しい考え方に出会って興奮冷めやらず、結局、小さなパイロットプロジェクトが最終的には製品デザイン、原料の選択、組立・解体のデザインなどにコンセプトを適用する、という大掛かりなものに発展しました。

その中から、スーパーヒット商品が生まれたのです。

この製品は完全にC2Cではなかったのですが、C2Cの原則を適用してデザインのプロセスを経て、開発されました。今や、彼らが生産するすべての製品がC2Cのプロセスにのっとって行われ、認証を得ています。C2Cが会社のありかたを完全に変えてしまいました。

――最初の製品はなぜそんなに成功したのでしょうか。

大きく二つの理由があります。一つは、企業の経営陣が、C2Cが彼らのビジョンとミッションを結びつけてくれるようなコンセプトである、と認識したこと。そして、オフィス家具のマーケットというのは非常にタイトで、数社が激しいシェア争いをしているのですが、その中で差別化を図ることができた、ということです。

この製品は、見た目にも従来型製品とは明らかに違い、非常に目を引きました。さらに、10分以内で解体できる、リサイクルできる7種類の原料しか使っていない、というような、C2Cならではのサステナビリティの売り文句も効果的でした。

――日本でのC2Cの活動にはどんなものがありますか。

日本企業でもC2C認証を取っている企業があります。田川産業(福岡県田川市)は、しっくいなどの建築材を、米国にも輸出して成功していますから、米国のマーケットで競争力を高めるために、C2Cが有効だと考えていると思います。我々も現場を訪問したりして関係を深め、支援しています。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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