東北工場で「防災未来工場化計画」、積水ハウス

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平常時はエコで、災害時はタフに。オーナー様や地域社会に安全・安心を提供 東北工場で「防災未来工場化計画」を開始

積水ハウス株式会社は、独自の「住宅防災」の考え方を基軸に、平常時は電力ピークカットに貢献し、大規模災害発生時にはオーナー様や地域社会へのいち早いサポートを可能にし、安全・安心を提供する「防災未来工場化計画」を東北工場(宮城県加美郡色麻町)で開始します。

地域(町や住民、地域組織)との防災連携を深めるほか、スマートエネルギーシステムを構築し、地域全体の防災力向上に貢献することを目指します。

① 独自の「住宅防災」の考え方を基軸に、「人に対して」 「住まいに対して」 「企業として」の3つの活動で、オーナー様や地域社会に安全・安心を提供

② スマートエネルギーシステムを構築し、災害時の初動迅速化とエネルギー自衛化

③ 町や住民、地域組織との防災連携を強化、実践的訓練を推進。災害に強いコミュニティの先進的な連携モデルを構築

1995年に発生した阪神・淡路大震災以降、3~5年ごとに震度6以上の大地震に遭遇している世界有数の「地震国」日本では、いつ、どこで大規模災害が発生しても不思議ではありません。

2011年3月に発生した東日本大震災は、日本に未曽有の被害をもたらしました。当社は、地震発生3時間後に災害備蓄物資の輸送を開始したほか、地震発生当日から被災エリア全てのオーナー様へのサポートを実施するなど、独自の「住宅防災」の考え方に基づき「人に対して」 「住まいに対して」 「企業として」の3つの活動で「災害対策アクションプログラム」を実践することができました。

このような過去の震災の教訓をいかすべく、地域の物流拠点としての工場の役割を生かし、平常時はエコで、災害発生時にはタフな、オーナー様や地域社会に安全・安心を提供する「防災未来工場化計画」を東北工場で開始します。

「防災未来工場化計画」の具体的取り組みとして、平常時にも災害時にも役立つスマートエネルギーシステムを構築します。また、防災備蓄を強化し、東北地域のオーナー様への緊急サポート拠点として機能させるだけでなく、災害発生時には近隣エリアの避難所として機能するとともに、必要最低限の電気・水・ガスを確保します。

さらに、色麻町との防災協定に基づき、住民、地域組織とも防災連携を深め、実践的訓練を実施し、災害に強いコミュニティづくりに貢献し、地域全体の防災力を高めていきます。

今後、行政や住民、地域組織と企業による先進的な連携モデルとして、全国の生産工場、物流拠点の「防災未来工場」化を推進し、各地域で安全・安心を地域社会に提供していくことを目指します。

① 独自の「住宅防災」の考え方に基づき、「人に対して」 「住まいに対して」 「企業として」の3つの活動で、オーナー様や地域社会に安全・安心を提供

当社は創立以来、地震大国、台風大国と呼ばれる日本における自然災害に備え、企業理念の根本哲学「人間愛」に基づく「お客様第一」の考えで、災害に強い住まいづくりに取り組み、自然災害発生時には、お客様の生命と生活を守ることを最優先に迅速なサポートに努めてきました。

「住宅防災」は、お客様そして地域社会のために、「人に対して」「企業として」「住まいに対して」の3つの活動で総合的な取り組みを進める、積水ハウス独自の考え方です。

<人に対して>
・防災意識啓発(セミナー開催等)
・防災体験設備、展示(夢工場)
・緊急物資支援(オーナー様、地域)

<企業として>
「自然災害対策アクションプログラム」
・従業員、ハウス会、取引先
・工場防災力強化、防災備蓄の充実
・事業継続計画、供給責任
・施工力確保(全国の協力工事店と連携)
・カスタマーズセンターによるサポート体制

<住まいに対して>
・災害に強い耐震性能の確保、制震システム「シーカス」普及(搭載率87.0%(2013年度))
・世界初の3電池(太陽電池・燃料電池・蓄電池)自動連携「グリーンファースト ハイブリッド」の普及
・ゼロエネルギー住宅「グリーンファースト ゼロ」の普及(48.0%(2013年度))
・「安全・安心」「健康・快適」「エネルギー」「見守り」をコンセプトに「スマートコモンシティ」の普及(宮城県富谷町の「スマートコモンシティ明石台」をはじめ全国16団地)
・短期間施工が可能な仮設住宅の供給

② スマートエネルギーシステムを構築し、災害時の初動迅速化とエネルギー自衛化

既設の太陽光発電設備に加え、新たに大型蓄電池、ガスエンジン発電機、プラグインハイブリッド自動車、エネルギー管理システム(FEMS)を導入し、スマートエネルギーシステムを構築します。

スマートエネルギーシステム構築により、契約電力を700kw(一般家庭の約233世帯分)下げることができるため、平時には地域の電力ピークカットに貢献します。また、エネルギー管理システムの導入により、工場内主要設備のエネルギー利用状況を「見える化」し、従業員の省エネ意識を一層高め、さらなるエネルギー使用量削減につなげていきます。

災害時には、蓄電池・発電機および太陽光発電の3電源から、事務所棟と避難所として活用する「東北・住まいの夢工場」に電力を供給します。電力が供給できるため、水、ガスの供給も可能になります。

さらに、プラグインハイブリッド車は、災害時の電力供給源として、また初動対応時の移動手段として利用します。これらの取り組みが、災害時の初動を迅速にし、オーナー様や地域住民へのいち早いサポートを可能にする、平常時はエコで、災害時はタフな工場を実現します。

これらの設備導入事業は、経済産業省から委託を受けて一般社団法人新エネルギー導入促進協議会が実施する2013年度スマートエネルギーシステム導入促進事業費補助金の対象として採択されています。

設備費用は総額で460百万円、その内補助金額は225百万円です。これらの設備は2015年2月までに導入、稼働いたします。

①大型蓄電池 : 出力500kw、蓄電池容量2Mwh
②ガスエンジン発電機 : 出力225kw、燃料LPG
③プラグインハイブリッド自動車 : 自動車本体1台、充電装置1か所
④エネルギー管理システム : 自社設計

※ 東北工場には713kwの太陽光発電システムを設置しています(今回補助金対象外・既存設備)。そのうち20kwが新たに構築するスマートエネルギーシステムに連動しています。

③ 町や住民、地域組織との防災連携を強化し、実践的訓練を推進。災害に強いコミュニティの先進的な連携モデルを構築

2013年9月に色麻町と締結した「防災協定」に基づき、「東北・住まいの夢工場」を災害発生時の避難所として活用します。また、250人が寝泊まりできる避難スペースと7日間の防災備蓄を確保するとともに、住民や地域組織とも連携して実践的な防災訓練を定期的、計画的に開催します(10月19日に合同防災訓練を実施予定)。

災害発生時の避難所としての活用だけでなく、新たに立ち上がる町、住民、地域組織により構成される色麻町防災協議会に参画して、地域全体の被災者支援拠点としても活動できる体制、コミュニティづくりを進めます。

(ご参考)東北工場概要
所在地 宮城県加美郡色麻町大原8番地
設立 1997年8月
敷地面積 121,458㎡
主要建物面積 60,845㎡
従業員数 321 名(2014年5月1日現在/協力会社社員含む)
※同敷地内に、「東北・住まいの夢工場」を併設
これらの取り組みをはじめとした町や住民、地域組織との協働により、共存共栄を実現するとともに、社会的責任を果たしながら、社会にとっての共有価値を創り出す、企業と地域による災害に強いコミュニティの先進的な連携モデルを構築します。

(ご参考) 東日本大震災からの復興に向けた積水ハウスの主な取り組み

<初動>
・地震発生3時間後に備蓄物資送付開始
・地震発生当日から、従業員、家族、お客様の安否確認と、状況確認訪問を開始
(震度5強以上のエリアに177,488棟の既築物件があり、約1カ月で状況確認と復旧工事を完了)
・被災した生産工場は、1週間後に出荷再開

<復旧・復興工事>
・2011年4月 復興支援住宅「がんばろう東北」を販売開始
・2011年8月 世界初の3電池(太陽電池・燃料電池・蓄電池)自動連携住宅
「グリーンファースト ハイブリッド」を販売開始
・2011年12月 日本初のスマートタウン「スマートコモンシティ明石台」を販売開始
・2013年4月 ゼロエネルギー住宅「グリーンファースト ゼロ」を販売開始
・全国から30万人を超える職方支援を継続、1日約300人規模(2014年4月現在)

<仮設住宅建設、提供>
・2,771戸の仮設住宅を建設(岩手県:658戸、宮城県;1,879戸、福島県:234戸)
・約2週間の短工期で建築可能
・民間賃貸住宅借り上げによるみなし仮設住宅を2,287戸提供

<雇用創出、地産地消等>
・2013年9月 木造住宅シャーウッドの陶版外壁「ベルバーン」の生産ラインを東北工場に設置、約100人の雇用を創出
・原材料や商品を被災3県から購入するとともに、部材生産を開始し、地産地消を促進
・震災を教訓に女性やこどもにもやさしい仮設トイレ「おりひめトイレ」を開発

<災害公営住宅建設、防災集団移転事業>
・2014年4月までに、災害公営住宅は引渡済物件4棟26戸(福島県相馬市、岩手県大槌町)、特定済物件99棟325戸(宮城県仙台市・石巻市・東松島市、福島県新地町、岩手県釜石市・宮古市)
・防災集団移転者向け専用商品「KIZUNA」を開発、販売

<社会貢献>
・震災遺児を経済支援する「桃・柿育英会」に賛同。会社と従業員が共同で2013年までに2,900万円を寄付(10年間で1億円の寄付を実施予定)
・復興支援と感謝のメッセージを音楽で発信する「ハンド・イン・ハンド」の趣旨に賛同、継続支援
・東北の障がい者福祉施設と障がい者を支援する「ミンナDEカオウヤ」「ミンナDEツクロウヤ」に参画
・被災地企業の課題解決を目指す復興庁の地域復興マッチング「結の場」に参加
・東北3県への社内旅行を推奨、会社が費用の一部を負担(2014年3月迄に63事業所3,253人が利用)
・NPOと協働し、新入社員による「復興支援活動」を継続実施(3年で延べ1,373人、91日間活動)

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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