トウモロコシの葉の水滴からネオニコチノイド――グリーンピースも検証

■「ネオニコは種子処理も問題」

調査結果を踏まえてグリーンピース・ジャパンでは、「EU委員会は13年12月から2年間、ネオニコチノイド系農薬の使用を禁止しているが、ミツバチの好む花をつける作物や、開花時期の散布を避ければ散布が可能。今回の調査で、EUの規制でさえミツバチへのリスクを十分回避できないことがわかった」との見解を示した。

それでもEUはネオニコチノイドの規制に向けて動き始めた。しかし、日本では農薬メーカーが政府に規制緩和を働きかける状況だ。国内でクロチアニジンを製造する住友化学は現在、厚生労働省に対して、クロチアニジンの食品残留基準値を最大で2千倍緩和するよう申請している。

同NGOで食と農業問題を担当する関根彩子氏は、今回の邦訳版公開について「ネオニコチノイド系農薬の種子処理はハチへの悪影響が懸念される。ミツバチへの被害を防ぐには、養蜂家に同農薬の空中散布時期を事前に知らせるだけでは不十分だ。今後、行政や農協ともこうした問題点を共有するべく働きかけたい」と話している。

科学レポート「滴る毒」(PDF)

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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