記事のポイント
- 米民主党の大統領候補はカマラ・ハリス副大統領がほぼ確実になった
- 8月19日に始まる民主党の全国大会(DNC)で正式指名される見込みだ
- パリ協定からの脱退を掲げるトランプ氏にカマラ氏はどう対抗するのか
米民主党の大統領候補はカマラ・ハリス副大統領がほぼ確実になった。8月19日に始まる民主党の全国大会(DNC)で正式指名される見込みだ。対する共和党のドナルド・トランプ候補は、「当選すればパリ協定から脱退」することを公約に入れた。ハリス副大統領はどんな気候変動対策を掲げるのか。サンフランシスコ地方検事時代には「環境司法部隊」を創設したハリス氏の環境政策を追った。(オルタナ副編集長・北村佳代子、リサーチ・長谷川瑞季)
ハリス副大統領は長年にわたって、環境を最重要課題としてきた。米メディアなどでは、ハリス副大統領はバイデン政権が進めてきた気候変動対策を継続するとの見方が強い。なかには(ハリス副大統領は)「石油・ガス産業にとっては、バイデン大統領より手ごわい存在」だとの見方もある。
カリフォルニア州出身のハリス副大統領は、2004年からサンフランシスコ市郡地方検事(2004~2011年)、カリフォルニア州司法長官(2011~2017年)、上院議員などの公職を長年歴任してきた。
サンフランシスコ地方検事時代は、米国で初となる「環境司法部隊」を創設した。その目的は、サンフランシスコの最貧困層の住民に対する、有害廃棄物の投棄などの環境犯罪に対処することだ。レンタルトラック会社のユーホール(U-Haul)社を含む複数の企業が、有害廃棄物の投棄で起訴された。
カリフォルニア州は全米で最も大気汚染が深刻な州だ。ハリス副大統領が検事総長時代は、ディーゼル排ガス試験でソフトウェアに不正があった疑いでフォルクスワーゲン社を提訴し、8600万ドルの和解金で合意したほか、ガソリンスタンドでの環境違反ではフィリップス66社とコノコフィリップス社を民事訴訟し、1150万ドルの和解金を得た。
■ハリスは「石油・ガス産業にとっての強敵」
■新たな「グリーン・ニューディール」の共同提案者
■米史上最大の気候変動対策「IRA法」を推進
■2023年「COP28」では力強い演説も