冒頭の質問に戻ると、私からはCSR部門はPDCAサイクルを単に回すだけではなく、よりレベルの高いCSR経営を行うために大きな役割を果たせることを力説した。

具体的には、CSR経営を担う人材を階層別に育成する教育プログラムを立ち上げたり、先進他社の取り組みを参考にして、より高い目標設定を行うきっかけを作るなど様々な可能性があることを説明した。

例えば、パナソニックの社会貢献担当部署は、将来の事業拡大や人材育成を視野に入れつつ、新興国のNGOなどを支援する社員ボランティアプログラムを実施している。

また、味の素のCSR部は、ガーナで貧困層向けに栄養補助食品を低価格で販売する新規事業を主導している。

先進企業では単なる「窓口」でも、コストセンターでもない、新たな価値を生むCSR部門を目指す動きが加速しつつあるというのが私の実感だ。

2010年に組織の社会的責任に関する国際規格ISO26000 が発行され、CSRへの取り組み方の基礎ができた。気候変動やサプライチェーン、生物多様性など、主だったテーマは出揃った感がある。

一方で、それらの課題の解決にはほど遠いというのがCSRmonthlyの読者を含め、多くの方々の実感だろう。その現実と理想のギャップを冷静に見つめ、それをつなぐ道を示し、旗振り役として社内を動かすのがCSR部門の重要な役割の一つだ。

その結果、企業としての変化への対応能力が向上したり、ブランド力がついたりと、付加価値が認められることになる。

イースクエアは、2000年に設立され、これまで一貫して環境・CSR分野で調査・コンサルティングを提供してきた。

また、CSRを取り巻く国内外の動向情報を提供する「CSR コンパス」や、CSR先進企業が集まる「TFN」などの企業ネットワークを運営している。

このCSR monthly では、一段階上のCSR 経営を目指す企業の皆さまに向けて、新たな価値を生むヒントになる情報を、弊社コンサルタントによるリレー形式で執筆させて頂く予定だ。

【やなぎだ・ひろゆき】環境装置メーカーで経営管理、新エネルギー分野の新規事業企画・立ち上げなどに従事した後、2005 年にイースクエアに入社。環境・CSR分野の調査・コンサルティングを担当し、ビジョンやロードマップの策定、鉱業や農業のサステナビリティに関する調査、BOPビジネスのフィージビリティ・スタディなどを手掛ける。

(この記事は株式会社オルタナが発行する「CSRmonthly」第1号(2012年10月5日発行)から転載しました)

柳田 啓之氏の連載は毎月発行のCSR担当者向けのニュースレター「CSRmonthly」でお読みいただけます。詳しくはこちら

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