学会「企業と社会フォーラム」(JFBS)の目指すもの【企業と社会の関係】

このように幅広く多様なテーマで、複合的に絡み合う現象を分析するためには、経営学、経済学、政治学、社会学など多様な視点が必要になります。そして同時に複数の学説を融合した学説横断的アプローチが求められることになります。

特定の課題に焦点を当てた専門化が行き過ぎると、企業社会の現実を見損ねる恐れがあるため、専門化と総合化の両方の視点を組み合わせながら、分析・議論していくことが重要です。これが、本学会が新しいタイプの学会であることの所以です。*1

そしてグローバルな動向を注視しながら、理論と現場と政策をつなぐ場をつくり、学際的に議論・研究するため、年次大会、研究部会、研究助成、年報発行などを実施しています。9月20~21日には、「持続可能な発展とイノベーション」を統一テーマとして第2回年次大会を開催しました。

国内外機関との幅広い連携も重要視しており、既に国内では、企業人のネットワークである公益社団法人企業市民協議会(CBCC)、一般社団法人グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク、NPO法人日本コーポレート・ガバナンス・ネットワークなどと連携しています。

国外では、アカデミー・オブ・ビジネス・イン・ソサエティ(EABIS)*2、CSRアジア、フンボルト大学国際CSRカンファレンス*3、などと連携しています。

2013年には、「CSRとコーポレート・ガバナンス(仮)」をテーマとして、フンボルト大学と東京で国際会議を共催する計画を進めています。次号以降、これら研究・議論の動向に触れていきます。


*1 このあたり詳しくは、企業と社会フォーラム編『持続可能な発展とマルチ・ステイクホルダー』(2012年9月、千倉書房)、またhttp://j-fbs.jp/ 参照。
*2 ヨーロッパの主要大学・ビジネススクールと主要企業によって2002年に設立された、本領域に関するヨーロッパ初の学会。
*3 2004年より2 年に一度、ヨーロッパを中心に北米、アジア地域から、研究者・企業人・政策立案者・市民組織代表者らの参画を得て国際CSR 会議を開催。

【さいとう・のりこ】原子力分野の国際基準等策定機関、外資系教育機関などを経て、ソーシャル・ビジネスやCSR 活動の支援・普及啓発業務に従事したのち、現職。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了、千葉商科大学専任講師。jfbs

(この記事は株式会社オルタナが発行する「CSRmonthly」第1号(2012年10月5日発行)から転載しました)

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齊藤 紀子(企業と社会フォーラム事務局)

原子力分野の国際基準等策定機関、外資系教育機関などを経て、ソーシャル・ビジネスやCSR 活動の支援・普及啓発業務に従事したのち、現職。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了、千葉商科大学人間社会学部准教授。

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