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記事のポイント
- 建築業界のCO2排出削減対策で「エンボディドカーボン」が注目される
- これは建物の建設から解体まで、運用以外で排出されるCO2のことを指す
- 建物にかかわるCO2排出の半分を占め、日本でも取り組みが始まった
建築業界におけるCO2排出量の削減対策において、近年、エンボディドカーボンと呼ばれる概念が注目されている。これは建物の運用時以外――資材製造・施工・修繕・解体の段階――に排出されるCO2のことだ。(新語ウォッチャー=もり ひろし)
これに対して建物の運用時――生活・事業等でエネルギーや水を消費するタイミング――に排出されるCO2はオペレーショナルカーボンと呼び、以上の合計(厳密には再利用分のCO2を引いたもの)をホールライフカーボンと呼ぶ。
排出量削減の取り組みにおいて、エンボディドカーボンは大きな鍵を握る。ホールライフカーボンに占めるエンボディドカーボンの排出量は約5割とも試算(持続可能な開発のための世界経済人会議)されるからだ。しかし複雑なサプライチェーンなどの背景もあり、対応が遅れていた。
エンボディドカーボンの抑制政策については「建設時における排出量算出を義務化する」などの方法があり、オランダなど欧州での取り組みが先行する。一方、日本でも産官学の対応が始まっており、例えば国土交通省は2024年5月に「建築物のライフサイクルカーボン算定ツール」の試行版を公開した。