記事のポイント
- 国連本部は化石燃料企業の広告を取り扱う広告会社への働きかけを強める
- 国連事務総長は今年6月、「化石燃料広告の禁止」を訴えていた
- 日本に拠点を置く国連広報センターの根本かおる所長が語った
米・ニューヨークの国連本部は化石燃料企業の広告の撤廃をめざして、広告・PR会社への働きかけを強める。今年6月には、国連のアントニオ・グテーレス事務総長が広告・PR業界に対して、化石燃料企業の広告の取り扱いをやめるように訴えていた。国連本部での議論は始まったばかりだが、この経緯について、日本に拠点を置く国連広報センターの根本かおる所長が語った。(聞き手・オルタナ副編集長=池田 真隆)
私は、日本に拠点を構える国連広報センターの所長として、SDGsの普及に広告業界が果たした役割は大きいと体感している。
一方、加速度的に気候危機が進む中で、回り道をしている余裕はない。
アントニオ・グテーレス・国連事務総長が、世界環境デーの6月5日に米・ニューヨークの自然史博物館で「気候危機」に関する講演を開いた。深刻な異常気象が続く中で、気候危機への対策の強化を世界に呼び掛けた。
国連は、ウクライナやガザなど紛争地域の停戦の働きかけを行うが、戦争よりもはるかに被害規模が大きい気候危機に対して、極めて強い危機感を持っているのだ。
グテーレス事務総長は、化石燃料企業の広告禁止を訴え、広告・PR会社に対しては、化石燃料関連の広告を取り扱わないように求めた。温室効果ガス(GHG)の多排出産業が率先して脱炭素に取り組まないと手遅れになるからだ。
気候危機を解決するには、一足飛びに効果が高い方法でGHGを大幅に削減しなければいけない。
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