統合報告書はトップの語りを軸に情報整理を

第一三共がトップメッセージを作成する際に重要視していることは、トップの想いや人柄が伝わるように、トップ自身の経験や考えを発信し、将来目指す姿や取り組むべき課題を明文化することです。(第一三共 グローバルコーポレート ストラテジー サステナビリティ部長=原田 径子)

そして、パーパス経営を実践するトップのメッセージを起点に、報告書全体で価値創造ストーリーとなるように開示する情報を整理しています。

形式的な内容だけでなく、トップ自らが感じたことや本人の意識が変わった原体験なども含まれているか確認し、誌面を通じてトップの人間像が伝わるように、写真も厳選しています。

第一三共は、統合報告書として「バリューレポート」を発行していますが、構成や内容については、経営陣を含む取締役会メンバーからの意見やアドバイスを織り込みながら作成しています。

IR活動では、株主や投資家が企業を評価する際に最も興味を持つ、今後の成長分野やコア分野にフォーカスする傾向にありますが、統合報告書は、自社の経営戦略に中長期的な視点でサステナビリティを統合し、「一貫性のあるストーリー」として示すことが重要だと考えています。

特に、第一三共は、財務諸表に表れない非財務価値が非常に高いので、将来財務に繋がる第一三共特有の価値をどのように表していくかも、ポイントの1つです。

その価値を向上させる戦略を企業価値へのインパクトパスに落とし込む議論を深めながら、毎年サステナビリティの考え方も整理しています。

株主や投資家は、統合報告書を読む上で社外取締役の関与も重視します。統合報告書は「自由演技」ですので、「社外の視点」を伝達する上で、「座談会」は評価が高い示し方だと考えています。

2024年度版では、経営トップと取締役会議長の対談などを掲載しました。執行と監督のすみ分けや取締役会での議論の内容などをテーマに話し合いました。

社員にも「課題」を語らせよ

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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