村上由美子氏、DEIを推進する「リーダーの条件」語る

記事のポイント


  1. スキルを持つ「高度人材の獲得合戦」は、世界的なトレンドだ
  2. 村上由美子氏は、「多様性のない日本企業は危機的状況にある」と指摘
  3. DEIを企業競争力に生かすリーダーの条件を聞いた

スキルを持つ高度人材の獲得合戦は、世界的なトレンドだ。そうした中で、Mパワーファンドゼネラルマネージャーの村上由美子氏(元OECD東京センター所長)は、「多様性のない日本企業は危機的状況にある」と指摘する。DEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)を企業競争力に生かすリーダーの条件を聞いた。(聞き手・オルタナS編集長=池田 真隆)

村上由美子(むらかみ・ゆみこ):
MPower Partners Fund L.P. ゼネラル・パートナー OECD(経済協力開発機構)東京センター元所⻑。岸田内閣「新しい資本主義実現会議」を含む、内閣府、経産省、外務省など多くの審議会で委員を歴任。2016年に上梓した『武器としての人口減社会』はアマゾン経済書部門にてベストセラーとなる。OECD以前は、主にニューヨークおよびロンドンのゴールドマン・サックス証券会社のマネージメント・ディレクターとして約20年間勤務。カンボジアの国連平和維持軍や、東カリブ海地域の経済開発援助にも携わった。上智大学、スタンフォード大学院、ハーバード大学院卒。

――2013年、第二次安倍内閣が成長戦略の柱一つに「女性活躍」を打ち出して10年が経ちました。村上さんはこの10年の動きをどう見ていますか。

日本では「多様性」が長く語られてきましたが、世界と比べたときに根本的なずれがあると感じています。

2013年に第二次安倍内閣が成長戦略の柱の一つに「女性活躍」を入れました。それ以降、働く女性の支援策として、保育所を増やすなど財政支援を行ってきました。企業側も女性リーダーを増やすために努力してきました。

10年で女性の就業率は改善しました。就業率だけで見ると、日本の女性はOECD平均よりも高く、米国よりも高いです。ただし、組織が多様化したのかという観点で見ると、まだまだです。日本はDEIの「伸びしろ」だらけだと思います。

この10年間の努力は無駄ではないですが、本当の意味で「美味しい果実」は採れていません。DEIの果実を採るためには、様々な考えを持った人が声を出せる仕組みにして、その声を意思決定のプロセスに反映していくことが重要です。

日本の企業や社会には、まだこれができていない。いくら女性が社会に出ようが、意思決定層に声が届かない限り、リーダーはDEIの果実にたどり着けません。この10年の努力を無駄にしないためにも、日本のリーダーはDEIの果実を採るためのアクションを起こすべきです。

――具体的に何をすべきでしょうか。

■無意識の偏見に気付かせるシステムを

■社員のマインドを変えるリーダーが持っているもの

■世界は日本よりも二回り早く進んでいる

■有報の開示義務化で、DEIと収益性の相関関係が明らかに

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M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナS編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナS編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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