記事のポイント
- 特定非営利活動促進法が1998年に施行し、25年が経った
- NPOへの期待は高まる一方で、課題を抱えるNPOも多い
- NPOの信頼性をどう高めるか、JCNEの佐藤大吾理事長に聞いた
特定非営利活動促進法が1998年に施行されてから、25年が経った。社会課題の解決の担い手であるNPOへの期待は高まる一方で、資金不足や人手不足など課題を抱えるNPOも多い。いまだに「NPOは怪しい」と言う向きもある。日本非営利組織評価センター(JCNE)の佐藤大吾理事長に、NPOの信頼性をどう高めるかを聞いた。(聞き手・オルタナ編集長=森摂、副編集長=吉田広子)
(目次)
■ 個人の力の結集が、社会課題の解決を後押しする
■ 組織の成長と社会課題の解決は連動しない
■ 「NPOは怪しい」の裏には「知らない」がある
■アイスバケツチャレンジで感じた寄付者を保護する意味
・佐藤大吾(さとう・だいご)氏
公益財団法人日本非営利組織評価センター(JCNE)理事長、NPO法人ドットジェイピー理事長。1973年大阪生まれ。大阪大学法学部在学中に起業、その後中退。1998年、NPO法人ドットジェイピーを設立。大学生を対象にしたインターンシッププログラムを運営。2010年、英国発世界最大の寄付サイトの日本事業「JustGiving Japan」を創業。20 21年に武蔵野大学アントレプレナーシップ学部教授に就任、起業家育成に取り組む。22年7月にJCNE理事長に就任。
■ 個人の力の結集が、社会課題の解決を後押しする
――いわゆるNPO法の施行から四半世紀が経ちましたが、その間に何がうまく行き、何がうまく行かなかったのでしょうか。
1998年にNPO法が施行され、私も同じ年にNPO法人ドットジェイピーを立ち上げました。
以前は、社会課題解決の担い手といえば、NPOをはじめとした非営利組織でしたが、いまでは株式会社も事業を通じた社会課題の解決に取り組み、結果を出すようになりました。東日本大震災が大きなターニングポイントとなって、法人格を問わず、「ソーシャルビジネス」の担い手になってきたと思います。
ソーシャルビジネスの担い手にとって大事なのは、持続可能な財務基盤と、世の中を良くするインパクトを生み出せるかどうか、です。誤解を恐れずに言えば、いかにたくさんの個人を巻き込めるかということになります。
「コレクティブインパクト」は重要ですが、NPOと企業、NPOと行政といったように、あくまで団体間の連携です。
私は、社会課題を解決する最短の方法は、より多くの人に課題を知ってもらうということだと思います。課題を知れば「このままではいけない」という気持ちが芽生え、そのうち何人かはアクションを起こすでしょう。その数が増えれば、企業も役所も政治も、動き出します。
これまでは、個人にアプローチするのは効率が悪く、団体間連携が精一杯だったと思います。そこに、SNSとブロックチェーン技術が登場したことで、個人に対しても連携を促しやすくなりました。個人の力を結集できれば、社会課題の解決のスピードは、速まると思います。