国際環境NGOのグリーンピースは30日、都内で会見を開き、同NGOが10月に福島県内で行った放射線量の測定結果を公表した。この中で、福島市内でホットスポット(高線量地点)が多く見つかった事を踏まえ、「人が現在居住している地域の除染を急ぐべきだ」などと提言した。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
グリーンピースは10月24日から27日にかけて福島市、4月に避難指示が解除された田村市都路、川内村、飯舘村でガンマ線スペクトロメータなどを使って放射線量を測定。福島市内の病院裏の路上で、地上10センチの高さの線量が10マイクロシーベルト時を超えていたほか、同市渡利の阿武隈河川敷でも同9マイクロシーベルト時を超える箇所が見つかった。
グリーンピース・ベルギーの放射線防護アドバイザー、ヤン・ヴァンダ・プッタ氏は調査結果について「全体的に線量は下がっており、除染技術も上がっている」と評価。その一方で「除染作業の配分が、住民が帰還する可能性が低い高線量地域に偏っている」と指摘した。
プッタ氏は今後の除染の進め方について「福島市内には未だに放射線量の高い場所が残っている。人口の多い地域の除染が優先されるべきだ」と提言した。
また、プッタ氏は除染で生じる放射性廃棄物の保管についても言及。「保管場所が5万カ所にも及び、市町村が個別に対応している。市町村に責任を押し付けてはならない」と現状を問題視した。
さらに同氏は「政府によるコーディネートが欠落している。しかも政府は(東電原発事故)当初から誤った情報を流し続けており、国民から信頼されていない」とも指摘。その上で「国、県、市町村、国民による対話を通じて、最終処分の方法や場所を決める必要がある」と述べた。
グリーンピース・ジャパンで核・エネルギー問題を担当する鈴木かずえ氏は「除染で生じた廃棄物の処分は本当に解決が難しい。少なくとも、こうしたリスクをこれ以上増やさないためにも、九州電力川内原発の再稼働はしてはならない」と話した。