あまり増えなかった理由の一つには、各所で言われているように太陽光発電ばかりが増えて、他の種類の自然エネルギーが増えなかったことにある。そしてもう一つは、電力ばかりが注目されて、熱利用が一向に進んでいないことだ。
永続地帯では、電力だけでなく、熱エネルギーの変化にも注目している。実際に一般家庭などで使用するエネルギーは、電力よりも熱の方が大きいからだ。今後、日本で永続地帯を増やしていけるかどうかのカギを握っているのは、この自然エネルギーの熱利用にある。
■ カギは自然エネルギーの熱利用
永続地帯研究会では、これから永続地帯を増やすために国のエネルギー政策への提言を行っている。その中にも、熱利用も含めて自然エネルギーの導入目標値を具体的に定めることや、熱利用に関する制度化を進めるべきといった提言が含まれている。
太陽熱、バイオマスなどを活用して暖房や給湯などをまかなったり、住宅の断熱リフォームを行うといった、自然エネルギーの熱利用を考えるということは、社会のエネルギー効率を上げることにつながる。EU各国では新設の建物に設備の設置や断熱を義務づける法律がつくられて効果を上げているが、日本ではまったく議論の対象にもなっていない。
永続地帯研究会では、電力についてはFITができたことで事業化をしやすくなったものの、熱については何のインセンティブもないので事業化が難しい現状を指摘。熱利用を促進するための制度をつくることを提案している。
国として自然エネルギーをどこまで活かせるのかという議論が起きている今こそ、電力だけではなくこのような指標も活かした幅広い視点でエネルギー政策を考えてみることが重要だろう。