循環経済の要点はいかに「集める」か

いつだったか、全国紙の新聞にEV電池のリサイクルが大々的に取り上げられていた。火力発電の大手が、EV電池から希少金属を取り出すビジネスに参入するという記事だ。使用済みになったEV電池から9割の資源を回収(抽出)することができるという。期待をもって読んだが、最後はため息が出てしまった。

9割も資源を回収(抽出)できるのだから素晴らしいではないか、高度な技術開発に違いない。多くの人がそう思うだろう。だが、この記事は肝心なことを忘れている。それは、市中からいかに使用済みEV電池を効率的に回収するかという問題だ。

もちろん使用済みEV電池から資源を回収(抽出)する高度な技術の実現は素晴らしい。こんな技術を体現したプラントに使用済みEV電池が集まれば、リサイクル率は飛躍的に高まり、資源の国内循環にも大いに貢献するはずだ。だが、それは「プラントに使用済みEV電池が集まれば」という前提の上での話だ。

資源の循環利用を促進する上で高度な技術は話の半分に過ぎず、使用済み製品・部品・素材を市中からいかに効率的に回収するかということが肝心なのだ。いやそれどころか、市中からの回収問題の方が重要とさえ言える。なぜなら、そもそも効率的に集められてプラントに適量の使用済製品・部品・素材が運ばれなければ、リサイクルなど絵に描いた餅になるからだ。

(この続きは)
■効率的に回収するポイントとは

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細田 衛士(東海大学副学長、政治経済学部教授)

東海大学副学長、政治経済学部教授。1953年生まれ。77年慶応義塾大学経済学部卒業後、同大学経済学部助手、助教授を経て、94年より教授。2001年から05年まで同大経済学部長を務めた。中央環境審議会委員や環境省政策評価委員会委員なども歴任した。

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