中東の過激派「イスラム国」に邦人が拘束されている問題で、ジャーナリストの常岡浩介氏が22日、都内で会見を行った。常岡氏は「邦人救出のために協力する用意がある」との考えを示した。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■「警察の妨害で湯川氏救出の機会奪われた」
常岡氏は取材活動を通じてイスラム国の司令官と連絡が取れていた。拘束されている内の1人、湯川遥菜氏について、イスラム国から「裁判の立会人となってほしい」との要請を受けた常岡氏は昨年9月、現地へ渡航。その時点でイスラム国は湯川氏を身代金取引の材料にせず、処刑もしない、との方針を示していたという。
しかし渡航直前の10月、警視庁は常岡氏らが北海道大生のイスラム国行きを支援した疑いで、私戦予備・陰謀罪の関係先として常岡氏の自宅を家宅捜索。その際、イスラム国関連の連絡先が押収された。常岡氏は「取材源の秘匿が不可能となったため、連絡が取れなくなった」と話した。
常岡氏は「警察は私の再出発の妨害をして、湯川さんを助けられるかも知れない機会を奪ったことになる。警察の妨害がなければ、私は湯川さんにイスラム国で会えた可能性があったと考えている」と説明。
その上で「72時間という期限が切られて初めて捜査本部が立ち上げられる。過去5ヵ月間、誘拐犯とのチャンネルが作れなかった捜査当局に、3日間で何ができるか疑問」と警察を批判した。
常岡氏はさらに「警察の捜査には協力できないが、邦人を救うための活動にはどんな協力でもしようという意思を持っている」と表明。警察や外務省からの協力依頼については「今のところない」とした。
外務省は23日午前、協力依頼の有無に関して「個別の事案については説明していない」と話した。