IUCN(国際自然保護連合)が定義する「絶滅のおそれのある野生生物のリスト」には、2014年11月時点で約2万2千種が登録されている。生物多様性の確保は喫緊の事項だ。本コラムでは、味の素バードサンクチュアリ設立にも関わった、現カルピス 人事・総務部の坂本優氏が、身近な動物を切り口に生物多様性、広くは動物と人との関わりについて語る。(カルピス株式会社 人事・総務部=坂本 優)
1984年の環境省の調査で、全国の生息数が約400羽とされたオオタカは、93年に「種の保存法」に基づいて国内希少動植物種に指定され、環境省のレッドデータブックでも絶滅危惧Ⅱ類に分類された。長野オリンピックの一部会場予定地が変更されるなど、オオタカの存在は環境アセスメントの焦点であり、環境保全の象徴ともされた。
その後、個体数の回復から、2006年以降は準絶滅危惧種となり、2008年には、関東地方とその周辺だけでも5800羽、という数字が公表された。最近は、大都市圏にも分布を広げている。人間が設置したネットに獲物を追いこんで狩りをする様子、わしづかみにしたカラスを貯水池に押し込み弱らせてからついばむ姿、等々テレビでご覧になった方も数多くいらっしゃることだろう。
このような状況のもと、現在、希少種指定解除が検討されており、2014年10月には、日本野鳥の会等の主催で、環境省の担当官も参加し、解除にあたっての課題を検討するシンポジウムが都内で開催されている。その内容は省略するが、私なりには、環境アセスメントや密猟への影響を懸念している。
■環境アセスメントへの影響
「オオタカの存在は環境アセスメントの焦点だった。」ということには、当然ながら、オオタカの存在によって象徴される貴重な自然環境を保全する、という意味合いが込められている。