記事のポイント
- 800超団体からなるJCIの加藤共同代表が政府のエネルギー政策を批判した
- 「パリ協定で定めた1.5度目標に沿わない。大変残念なことだ」と話した
- 同時に、企業は再エネ推進の障害を取り払う法改正などを訴えるべきとした
企業、自治体、団体、NGOなど800超団体で構成する気候変動イニシアティブ(JCI)の加藤茂夫共同代表は、政府がこのほど閣議決定したエネルギー政策に対して、「パリ協定で定めた1.5度目標に沿わない目標値で大変残念なことだ」と批判した。「企業は戦略を変えるフェーズに入った」とし、政府に方針の転換を働きかけるだけでなく、再エネ推進の障害を取り払う法律の改正や制度の改善を動きかけることを求めた。(オルタナ副編集長=池田 真隆)
JCIの加藤茂夫共同代表はリコーで2015年から2022年までサステナビリティ担当役員として、脱炭素経営を推進してきた。現在は、JCI共同代表やグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンの理事として、気候変動問題を中心に企業・産業界への働きかけを行う。
その加藤共同代表が、このほど政府が閣議決定した「第七次エネルギー基本計画」と「地球温暖化対策計画」について批判した。エネルギー基本計画では2040年の再生可能エネルギー比率を40〜50%とし、地球温暖化対策計画では、日本の新たな温室効果ガス(GHG)削減目標を、「2035年度に13年度比60%減、40年度に73%減」と決めた。
しかし、地球環境戦略研究機関IGESは、「1.5℃目標」に整合させるには2040年に再エネ比率は最低72%以上が必要だとするシナリオを公表した。GHG削減目標についても、1.5度目標に整合させるには、政府が基準年度にした2013年度比ではなく2019年度比で2035年度に60%減が必要だとした。
JCIの加藤共同代表は、「エネルギー基本計画には約4万件、地球温暖化対策計画には約3千件ものパブリックコメントが集まった。JCIとしても化石燃料からの脱却、再生可能エネルギーの推進に向けて、236もの賛同企業・団体 連名で提言、省庁への具申を尽くした。政府はこれらの声を聞くことなく1.5度目標に沿わない方針を決めた。大変、残念なことだ」と話した
続けて、企業が脱炭素経営を進めるために戦略を変える段階に入ったと指摘した。
「企業は戦略を変えるフェーズに入った。政府に方針・目標の転換を働きかけるだけでなく、再エネ推進の障害を取り払う法律の改正や制度の改善を動きかけて、経済合理性をもった再エネを調達できるシステム構築を求めていくことが必要だ。日本での再エネを渇望し同じ思いを持つアップルやグーグルなどのGAFAMと連携するのも有効だ」