記事のポイント
- 米投資家ウォーレン・バフェット氏は2月22日、株主への書簡を公表した
- 日本の5大商社の株式保有比率を「拡大する」と宣言した
- 一方、書簡では気候変動による保険損失が脅威であるとも述べている
ウォーレン・バフェット氏がCEOを務めるバークシャーハサウェイ社は2月22日、株主に毎年送付する「株主への手紙」を「バークシャーハサウェイアニュアルレポート2024」で公開した。グレッグ・アベル氏が次期CEOに指名することや日本の5大商社の株式保有比率を拡大する方針を示した。一方で、気候変動による保険損失が脅威であるとも伝えている。(オルタナ総研フェロー=室井 孝之)
ウォーレン・バフェット氏がCEOを務めるバークシャーハサウェイ社が株主に毎年送付する、「株主への手紙」の抜粋は次の通りである。
【バークシャーの日本投資の増加】
アメリカでの集中という方針に対する小さいが重要な例外は、日本への投資の増加だ。
バークシャーは、2019年7月に(アルファベット順で)伊藤忠商事、丸紅、三菱商事、三井物産、住友商事に投資した。
彼らの資本の使い方、経営陣、そして投資家に対する態度が気に入っている。5社は適切な場合には配当を増加させ、株式を買い戻すべき時にそれを行い、トップマネージャーの報酬プログラムは米国の同業者たちよりも遥かに控えめである。
5社に対する保有は非常に長期的なものであり、これらの企業の取締役会をサポートすることを約束している。最初はバークシャーの保有比率は各企業の株式の10%以下に抑えることに合意した。しかし、この制限に近づいた際、5社は控えめにその上限を緩和することに同意した。今後、これらの5社すべてについて、バークシャーの所有割合が若干増加するのが見られるだろう。
年末時点で、バークシャーの合計投資額は138億ドルで、私たちの保有する株式の時価総額は235億ドルだった。
私は、日本のポジションを何十年も保有し、バークシャーが将来的にこれらの5社と生産的に協力する方法を見つけるだろうと予想している。
2025年に予想される日本への投資からの年間配当収入は約8億1200万ドル(約1185億円)で、円建て債務の利息コストは約1億3500万ドル(約148億円)になる見込みである。【失敗について ― バークシャーでも失敗はある】
私は、バークシャーのために買収した企業の将来の経済性を見誤ることがある。これは資本配分の誤りの一例であり、このような判断ミスは、上場株式の投資でも、100%買収した企業でも発生し得る。
また、バークシャーが採用する経営者の能力や誠実さを見極める際にも誤ることがある。
2019年から2023年の間に、私は手紙の中で「失敗(mistake)」または「誤り(error)」という言葉を16回使用した。一方で、多くの大企業は、この期間中に一度もこれらの言葉を使っていない。【昨年の業績】
2024年、バークシャーは予想以上の成果を上げたが、189の運営企業のうち53%が利益の減少を報告した。私たちは、米国財務省証券の利回りが改善し、これらの非常に流動性の高い短期証券の保有を大幅に増加させたことによる、予測可能な大きな投資収益の増加に助けられた。保険事業も、GEICO(ガイコ:公務員保険会社)の業績に牽引されて、収益の大幅な増加を実現した。
私たちの視野は、投資に対して単年度を超えた期間を考慮しており、多くの場合、その期間は数十年に及ぶ。
一方で気候変動の影響が現れ始めているのかもしれない。いつかは、どんな日でも、本当に衝撃的な保険損失が発生し、、その損失が毎年1回だけである保証はない。