FIFA女子W杯をLGBTとCSRの視点から楽しむために[村木 真紀]

LGBTであることを公表するアスリートは、ここ数十年で増えた。特に女子サッカー界はカミングアウトしている選手が多いが、統計による人口比を考えると不自然な数字ではない。FIFAやIOCもLGBT差別禁止規定を作成したことから、オリンピック開催時には、職場や事業における差別禁止が最低ラインとみなされる可能性も高い。LGBTに関して企業も無関心ではいられなくなってきたが、積極的に取り組むことでイメージアップにつなげた例もある。(特定非営利活動法人虹色ダイバーシティ代表=村木真紀)

■女子サッカーにはレズビアンが多い?
もうすぐサッカー女子W杯が開幕する。2011年の「なでしこジャパン」の優勝に大感激して以来、ずっと女子サッカーを応援してきたので、本当にワクワクしている。是非、素晴らしい戦いを見せて欲しい。

女子サッカー界には、レズビアンであることを公表している選手も多い。アメリカ女子代表で、長身のFWとして日本ゴールを何度も脅かしたアビー・ワンバック選手は、チームメイトと同性婚をしている。その他にも、金色の短髪が印象的だったミーガン・ラピノー選手、スウェーデンのジェシカ・ランドストローム選手、ヘドヴィグ・リンダール選手などだ。スウェーデンはピーア・スンドハーゲ監督もレズビアンである。

特に女子サッカー選手にレズビアンが多いのかといえば、私はそうでもないのではないかと思う。人口の数パーセント(2012年の電通調査では5.2%、今年の調査ではなんと7.6%という数値だった)がLGBT等の性的マイノリティ(以下LGBT)であると言われている。

サッカー選手はスタメンで11人、控え選手やスタッフも入れれば、ゆうに30人以上の大所帯である。統計的にはLGBT当事者が各チームで何人かいてもおかしくない。日本ではまだカミングアウトしている現役選手はいないが、元日本代表の水間百合子さんが著書で性同一性障害であると公表している。

■カミングアウトするアスリート達

muraki

村木 真紀 (認定NPO法人虹色ダイバーシティ代表理事)

認定NPO法人虹色ダイバーシティ代表(理事長)。社会保険労務士。茨城県生まれ、京都大学総合人間学部卒業。日系メーカー、外資系コンサルティング会社等を経て現職。当事者としての実感とコンサルタントとしての経験を活かして、LGBTに関する調査研究や社会教育を行う。著書「虹色チェンジメーカー」(小学館新書)執筆記事一覧

執筆記事一覧
キーワード:

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..