
IUCN(国際自然保護連合)が定義する「絶滅のおそれのある野生生物のリスト」には、2014年11月時点で約2万2千種が登録されている。生物多様性の確保は喫緊の事項だ。本コラムでは、味の素バードサンクチュアリ設立にも関わった、現カルピス 人事・総務部の坂本優氏が、身近な動物を切り口に生物多様性、広くは動物と人との関わりについて語る。(カルピス株式会社 人事・総務部=坂本 優)
最近、明治神宮の南池、北池のカメをテーマとする観察会を行なった。雑種も増えていることから、断定的には言えないものの、全体にアカミミガメ系と思われるカメが多い中、北池では背中に3本の脊梁が走り、前足の比較的がっちりした、クサガメ系と思われるカメも目についた。

そんな観察会も終わりかけたひと時、池面を眺めていると、人の影につられコイが集まってくる。普段は何気なく見過ごしてしまうのだが、カメを観察していたせいで、水中にも注意が向いていたのだろうか。
これまで気づくことのなかった大きなスッポンが、コイの群れに交じって泳いでいるのを見つけた。コイに目が行くからか、体色が水の色に紛れてしまうのか、「スッポンがいる」と言ってもしばらくは気づかない人が多かった。そして気づくと一様に、コイと比べても遜色ないその大きさに驚いていた(写真A)。