「ご当地エネルギーで地域自治を取り戻そう」と銘打ち、地元で利用可能な自然エネルギーについて理解を深めるシンポジウムが12日、東京・八王子で開かれた。市内で市民太陽光発電事業を行う団体「八王子共同エネルギー」が主催した。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■「しずおか未来エネルギー」社長が講演

団体は「脱原発・エネルギーシフト」「地域経済の活性化」「コミュニティ作り」を目的に市民発電所事業に取り組む。市民からの出資で2014年9月、市内の牧場に出力約30キロワットの太陽光発電所を設置し稼働中。今年10月には、新たに2か所で太陽光発電所が発電を始める計画だ。
シンポジウムでは「しずおか未来エネルギー」の服部乃利子社長が講演。同社は静岡県内で自然エネルギーの普及に取り組む。公共施設の屋根を借りて太陽光発電事業を行うが、資金調達方法に特色がある。市民出資は1口5万円と低く抑え、償還期間を5年とすることで「主婦でも気軽に出資できるようにした」(服部氏)。
また、金融機関からは無担保・無保証および低金利で融資を受けている。「(事業を練る)協議会に金融機関も入ってもらった。早い段階で金融機関を巻き込むことで、事業評価による金融支援が実現した」と服部氏は述べた。
一方、自然エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の見直しで、太陽光の買取価格は当初の1キロワット時当たり40円から段階的に引き下げられた。発電出力10キロワット以上の場合、7月以降の契約では買取価格は同27円。変化する事業環境にどう適応するかが課題だ。