記事のポイント
- サントリーと三菱地所がミミズを活用し循環経済の実現を狙う
- 有機物を分解する能力が高いミミズで、食品残渣をアップサイクルへ
- ミミズの分解で堆肥・液肥を作り、街区の植栽などに生かす
サントリーホールディングスと三菱地所はこのほど、ミミズを活用して循環経済の実現を狙う。ミミズは有機物を分解する能力が高く、その排泄物にも植物の生育に必要な微生物や栄養素を多く含む。食品残渣(ざんさ)をミミズの分解で堆肥・液肥化し、街区の植栽などに生かす。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)

サントリーホールディングスは8月27日、ミミズによる残渣の有機肥料(堆肥)化に向けた実証実験を始めたと公表した。ミミズは有機物を分解する能力が高く、排泄物には、植物の生育に必要な微生物や窒素やリン酸など栄養素を多く含む。
この実証実験では、三菱地所と協力して行う。同社が開発を進める「TOKYO TORCH(トウキョウ トーチ)」街区(東京都千代田区)にミミズの入ったコンポストを設置し、街区内の飲食店から出るコーヒーかすなど食品残渣を投入する。
ミミズを通じた分解によって堆肥・液肥を作り、それを街区の植栽などの栽培に使用することで、街区内の資源循環の実現を目指す。
実証実験に使うコンポストでは1日あたり最大で約2キロの残渣を処理でき、残渣を投入してから、約3カ月で堆肥が完成する予定だ。
■将来的にはミミズによる肥料の商品化も
ミミズを活用した有機肥料の開発プロジェクトは、サントリーグループの社内ベンチャー制度「FRONTIER DOJO(フロンティア道場)」から生まれた。フロンティア道場は、社員が新規事業創出に挑戦できるグループ内制度だ。
実証実験は2025年5月から始めており、街区内にコンポストを設置し、食品残渣を投入した。この実験は12月までを予定しており、その後については実験結果を踏まえて三菱地所と協議する。
サントリーとしては今後、工場の排水処理の過程で発生する「汚泥」や製造残渣をミミズによってできた堆肥に入れ、肥料としての有用性を検証する。将来的にはこの堆肥を使った商品化を視野に入れる。