2024年に大気中のCO2濃度は過去最高の423.9 ppmに:国際気象機関

記事のポイント


  1. 世界気象機関によると2024年に大気中のCO2濃度が過去最高の423.9 ppmになった
  2. 1年前から3.5 ppmの上昇と、1957年の測定開始以来、最大の上昇幅となった
  3. 人間活動による排出、山火事の増加、海洋などのCO2吸収源の減少が要因だ

世界気象機関(WMO)は10月16日、2024年の大気中のCO2濃度が、過去最高の423.9 ppm(ppmは百万分の1)になったと発表した。1年前から世界の平均濃度は3.5 ppm上昇しており、1957年に近代的な測定を開始して以来、過去最高の上昇幅となった。主要因は、人間活動によるCO2排出に加え、山火事が増加したこと、陸上生態系や海洋などのCO2の吸収源が減少したことなどだ。地球の気温は、より長期にわたって上昇することになるという。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

大気中のCO2濃度は2024年も過去最高を更新した

世界気象機関(WMO)は10月16日、温室効果ガス速報を発表し、大気中のCO2濃度が2024年に423.9 ppmとなり、再び過去最高を更新したことを明らかにした。

参考:2023年のGHG濃度は過去最高の420ppmに、温暖化加速を懸念

人間活動により継続的なCO2排出が続いていることに加え、山火事の増加、さらには陸上生態系や海洋などのCO2の吸収源において、CO2吸収量が減少していることが要因だ。WMOは「悪循環のおそれがある」と指摘した。

■CO2濃度の上昇スピードが加速している

WMOが温室効果ガス速報を初めて発表した2004年のCO2濃度は平均377.1 ppmだった。それが20年間で12.4%上昇し、423.9 ppmとなった。

1984年から2024年までのCO2濃度の平均値の推移
(c) World Meteorological Organization

CO2濃度の上昇率は、1960年代に比べると3倍に加速している。2011年から2020年の10年間では年平均0.8~2.4 ppmの上昇だったが、2024年は前年から3.5ppm増と急上昇した。この上昇幅は、1957年にCO2濃度の近代的な測定を開始して以来、最大だという。

この急上昇の要因は、強いエル・ニーニョ現象で2024年が記録上最も暑い年となったこと、山火事による排出量の拡大、陸地と海洋の両方でCO2の吸収量が減少したことだ。

1984年から2024年までのCO2濃度の上昇率(単位はppm/年)
(c) World Meteorological Organization

■気候・経済安保・福祉のために排出量の削減を

2024年は、強いエル・ニーニョ現象で観測史上最も暖かい1年となった。2024年にアマゾンや南アフリカで異常な干ばつや火災が発生したが、エル・ニーニョ現象の見られる年は、植生の乾燥や森林火災によって、陸上の炭素吸収源の効率が低下するため、CO2濃度が上昇する傾向にあるという。

WMOのコー・バレット事務次官は、「CO2やその他の温室効果ガス(GHG)によって閉じ込められた熱は、私たちの気候を急速に悪化させ、より極端な気象現象を引き起こしている」とコメントし、「排出量の削減は、気候だけでなく、経済安全保障と地域社会の福祉にとっても不可欠だ」と力をこめた。

■減らないCO2排出と弱まる炭素吸収力
■メタンと亜酸化窒素の濃度も記録的な上昇に

有料会員限定コンテンツ

こちらのコンテンツをご覧いただくには

有料会員登録が必要です。

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

オルタナ輪番編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部、2024年1月からオルタナ副編集長。

執筆記事一覧
キーワード: #気候変動#脱炭素

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。