ネスレ日本、抽出後のコーヒー粉を土づくりの「資源」に

記事のポイント


  1. ネスレ日本は抽出後のコーヒー粉などを土づくりの資源に活用する
  2. 抽出後のコーヒー粉などをコンポストに入れ、花壇用の土として活用する
  3. 神戸市と大学との産官学連携で取り組み、ゴミが資源になることを訴求する

ネスレ日本は抽出後のコーヒー粉などを土づくりの資源に活用する活動を始めた。抽出後のコーヒー粉や野菜くずなどをコンポストに入れ、花壇用の土として活用する。同社は、神戸市と兵庫県立大学との三者連携で資源循環に取り組み、ゴミが資源になることを訴求することを狙う。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)

向かって左から、兵庫県立大学森谷ゼミの学生、同大学国際商経学部の森谷准教授、神戸市環境局の柏木和馬・ 局長 、ネスレ日本コーポレートアフェアーズ統括部の鷲谷僚子氏

ネスレ日本は資源循環の推進に力を入れる。同社が展開する「ネスカフェ ゴールドブレンド エコ&システムパック」の使用済みパッケージなどをスーパーなどの店頭で回収し、紙糸にアップサイクルする取り組みを行う。

このほど、神戸市と組んで、抽出後のコーヒー粉などを対象に資源循環を目指す。同社が運営するカフェ店舗「ネスカフェ三宮」で出る抽出後のコーヒー粉や野菜くずをコンポストに投入する。

ネスカフェ三宮は神戸三宮の駅前に位置する。コンセプトは「非日常の癒し空間(コーヒー農園)」で循環の体験と理解の促進だ。同店で実証を行うことで、若年層への浸透を図る。

同社が今年9月に出した新商品「ネスカフェ ドルチェ グスト ネオ」もコンポストに入れる。この商品は、紙製コーヒーポッドで、国内で初めてホームコンポスト対応のものだ。

ゴミが「資源」に、学生がSNSで伝える

コンポストは、神戸市が普及する「こうべキエーロ」を使う。一般的なコンポストは堆肥を作ることが目的だが、「キエーロ」では堆肥利用を前提としておらず、箱の中の微生物の働きで生ごみを分解する。繰り返し使える点も特徴だ。

ネスカフェ三宮の2階テラスに「こうべキエーロ」を置き、花壇として活用する。分解するまでの期間は、コーヒー粉や野菜くずは夏で約5日間、冬で約2週間、「ネスカフェ ドルチェ グスト ネオ」の紙製コーヒーポッドは約6カ月間の見込みだ。 

この取り組みの狙いは、ゴミが資源になることを普及することにある。普及促進の一環として、兵庫県立大学国際商経学部森谷ゼミがSNSでの広報発信を行う。同大学の学食から出る残渣をキエーロで分解させて土づくりを行い、できあがった土はキャンパス内の花壇にも使う。

「地域と大学、企業の連携が、新しい循環の芽に」

神戸市環境局の柏木和馬・局長は、「地域と大学、企業の連携が、新しい循環の芽を育てていく」と力を込めた。

兵庫県立大学国際商経学部の森谷義哉・准教授は、「学びは教室を出たとき、はじめて現実の力になる」と指摘した。

ネスレ日本コーポレートアフェアーズ統括部の鷲谷僚子氏は、「市民の目に触れる場所に置いて、資源循環を見てもらう。本来ならゴミとして捨てられてしまうものが資源になるという実感を、街の真ん中で体験してほしい」と話した。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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