記事のポイント
- 東京都主催のファッションコンクールで、学生が障がい者と服を制作する
- 一次審査通過者対象のワークショップでは、障がい当事者との意見交換も
- 11月の二次審査に向け、インクルーシブデザインの誰もが楽しめる服の制作が進む
東京都は、国内最大規模の学生ファッションコンクール「NFDT2026」を開催中だ。このうち、障がいの有無にかかわらず誰もが楽しめる服を生み出す「インクルーシブデザイン部門」では、学生が障がい当事者と直接意見交換を行い、多様な視点やニーズを学ぶプロセスも踏む。この日得た知見を参考に、学生らは11月中の二次審査に向けてルック制作を進め、2026年3月の最終審査に挑む。(社会課題ライター=川原莉奈)

東京都知事賞大賞を受賞した作品
(写真提供:東京都産業労働局)
東京都は、都内在住または在学の学生を対象としたファッションコンクール「Next Fashion Designer of Tokyo 2026(ネクスト ファッション デザイナー オブ トウキョウ 2026)/NFDT」を主催している。
このうち、誰もが楽しめる服づくりを目指す「インクルーシブデザイン部門」では、9月24日に一次審査通過者向けのワークショップを開催し、障がい当事者との意見交換を行った。
参加した学生たちは、当事者ならではの多様な声に耳を傾け、自身のデザイン案を改善していく意欲を見せた。今後は二次審査に向けて、実際のルック制作に取り組む。
特別アドバイザーとして参加した一般社団法人障害攻略課(東京・中央)の上原大祐代表は、インクルーシブデザインの意義について「障がいのある人もない人も、みんなの困り事を解決できるもの」と語った。
さらにこれを社会に広げるためには、「身近に親しい障がい当事者がいれば考えたり気付いたりする機会が増える。楽しさや感動を共有できる場を増やすことが大切だ」(同)と力を込めた。
同じく特別アドバイザーを務めた一般社団法人mogmog engine(千葉・松戸)の加藤さくら代表は、「一人を起点に作ったものが、結果、多くの方に感動を届ける。それがインクルーシブデザインの醍醐味」だと言い、「ハッピーな連鎖が広がることを願っている」と話した。
学生デザイナーたちが当事者の声をどのようにデザインに落とし込むのか、今後の展開が楽しみだ。



