■電気料金も減少の兆しが
他方で「ドイツの電気料金は高い」と批判されることも多い。その原因としてFIT(自然エネルギー電力の固定価格買取制度)の賦課金が電気料金を押し上げている、と槍玉に挙げられる。
しかしこの賦課金額が15年、ドイツでFITが施行されてから初めて減少に転じたという。1キロワット時当たりの賦課金は前年より0.07ユーロセント低い6.17ユーロセント(約8.3円)。一柳氏は「今年の減少だけを見て、電気料金が頭打ちに転じていると判断することは出来ない」としながらも、「減少の兆しが見えはじめてきたとは言えるだろう」と見る。
「ドイツの環境シンクタンクの予測では、今後の賦課金額は主に洋上風力発電拡大のため、一旦キロワット時当たり1~2ユーロセント程度は上昇するものの、23年頃にピークを迎え、その後継続的に減少していく。そして35年には総電力消費量にしめる自然エネルギーの割合が現状のほぼ倍の60%程度まで拡大する一方、賦課金額は現状から同2~4ユーロセント程度下がるとみられる」(一柳氏)
ちなみに今年8月にIEA(国際エネルギー機関)が示したレポートでは、自然エネルギー電力の発電コストが過去5年間で火力と同等程度にまで下がっていることが明らかとなった。一方で同報告書によれば、火力や原子力の発電コストは上昇傾向にある。10月15日には、ドイツで来年の賦課金額が発表される予定だ。