記事のポイント
- 公的資金が減少する中、社会課題解決における民間の役割が増大している
- 日本民間公益活動連携機構は、NPOと企業のマッチング会を都内で開催
- 過去最多となる企業35社、休眠預金等活用事業に取り組む22の団体が参加した
日本民間公益活動連携機構(JANPIA、東京・千代田)は11月14日、休眠預金等活用事業に取り組む団体と企業による社会的インパクト創出に向けたマッチング会を都内で開催した。東京での開催は今回が初めて。過去最多となる企業35社、首都圏の団体と能登半島地震の被災地から22の資金分配団体が参加した。(辻陽一郎)
休眠預金活用事業は7年目を迎え、これまで全国で約1500の事業が展開されている。ひとり親家庭の子どもや孤立した若者、障害者、被災者など社会的弱者やマイノリティを対象とする事業が多い。
JANPIAの二宮雅也理事長は、この事業の成果が、日本政府のSDGs進捗に関する「自発的国家レビュー (VNR)」でも取り上げられていることに触れ、「法的な制度では対応困難な社会課題を市民社会の細やかな解決力と、企業のイノベーション力を車の両輪とする連携が、SDGsに貢献する日本型のユニークなモデルとなる」と述べた。
日本経済団体連合会の長谷川知子常務理事は、公的資金が減少する中、社会課題解決における民間の役割が増大していると指摘。「企業とNPOという異なる強みを持つ二つのプレイヤーが連携することでイノベーションを生み、単独では成し得ない社会的なインパクトを生む」と強調した。
参加した団体からは、企業に対し多岐にわたる協働ニーズが提案された。主なニーズは、寄付や協賛などの資金的支援に加えて、企業の本業を活かした支援や人的支援が目立った。
能登半島地震の復興支援を行っている団体は「外部から助けられる段階から、自分たちの足で立っていく段階へと移行している」と説明。企業との連携においては、広報・マーケティング支援などのプロボノによる組織基盤強化などの必要性を伝えた。
また、困難を抱える女性に対しての業務提供や、子どもたちに対しての体験プログラムの提供など教育・就労機会の創出協力への提案もあった。
複雑化する社会課題を解決するには、NPOと企業が連携することが不可欠であり、社会変革のプロセスを、ともに歩むためのパートナーシップが必要とされ、そのためにも、平時からの連携といった見えやすい関係作りが重要と語られた。



